ずっと『世界哲学史』(ちくま新書・全8巻+別冊)と『西洋哲学史』(講談社選書メチエ・全4巻)を順を追って読んでた。箱をつくる作業ということで。

お盆休みがけっきょく引きこもりになってたこともあり、去年買ったままになっていた『世界哲学史』(ちくま新書・全8巻)と、ずっとまえに買ったままになってた『西洋哲学史』(講談社選書メチエ・全4巻)を順を追って読んで暮らすことにした。『世界哲学史』を2冊読んでギリシャ、ローマあたりまで進んだら次は『西洋哲学史』の1を読む、みたいなかんじで。でまぁさっぱりわからないところは字だけ読み流しつつ、しかし読めども終わらず、とくに中世が長くて(まぁそうなる)、しかも読んでるうちに『世界哲学史』に別巻が出ていることを知りさらにがっくりみたいなこともありつつ、気が付けば1カ月ぐらいかかってた。
頭の中には何も残っていないけれど、まぁ、「箱をつくる作業」のつもりでいて、つまり、なんだか内容はさっぱりわからないけれど中世哲学という箱があり、近世哲学という箱があり、その中にさらにどうのこうの、というふうなひとそろいが本になっているのだからそれを読み進めて自分の中にもそういう箱らしきものをひとそろい作って並べる作業をちょっとだけしたのだと。まぁそういうのは高校生や大学生や大学院生のときにやっておけばそれはそれでよかったのだろうけれど、まぁ、自分がそうでないのだから格好をつけてこんなもんは高校生のうちに読んでおかないとダメだみたいなことは言わない。いま読んだってなかなか新鮮である。

自分むけにCOVID-19関連について現時点でどう考えることにするかをまとめておく。(その16:9/3-)

さて、9月に入った。状況はどうかというと、これがよくわからない。一つの要素は、8月に大都市圏で感染拡大が起こり、ついに検査が追い付かなくなったとか、接触者追跡を部分的にやらなくなったとか、でまた医療がひっ迫してこれ医療崩壊じゃないかと言われたり、またそんなこんなしているうちに感染拡大の波は地方にも広がって、とかなんとかかんとかそういうことが一方であった。他方で、東京を始め(ということは全国合計の数字でも)、感染拡大の勢いが収まってきたり、実効再生産数が1を割ってきたり、ということがある。もちろん、前者と後者がどうつながっているのか、前者つまり検査が完全に現実を反映しなくなったためにこそ起こっている後者はだから見かけ上にすぎない、という見方もありうる。
で、そのへんどうなのかというあたりを、ちょうどのタイミングの西浦先生の記事で:

少し喜んで、でもまた引き締めて 西浦博さんが悩みながら分析したコロナの現状

感染者数が徐々に減っているように見えますが、このデータをそのまま信じることはできません。様々なデータを駆使して分析した現状の判断はどうなのでしょう。「8割おじさん」こと、理論疫学者の西浦博さんが珍しく明るい表情です。

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というわけで三回連載の記事はようするに、「検査が追い付いてないとかなんとかも勘案したうえで、やはりなぜか現時点では拡大の勢いは抑えられているようだ」という現状判断のよう。それはこの欄にも貼り付けた8/19のTweetで表明された認識の延長上だろう。で、それにはいくつかの原因が仮説として考えられるが、まぁやっぱり「医療ひっ迫のメディア報道を見た人たちの自発的な接触制限」と「ワクチン接種」の合わせ技が大きいだろうな、ぐらいの読み。まぁそれはそうだろうね。だとすると逆に言うと、ちょっと安心して、あるいはそうでなくても夏休み期間が終わったことによって、また人々が活動を始めたら、また一挙に感染拡大するよね、ということでもあると。それもそうだ。で、そのばあい、たとえば8月末や9月から小中高校が二学期スタートだとか、まぁ一斉休校だとかなんだとか、話題になってるし、まぁ学校で子どもたちに感染蔓延して子どもたちが各家庭に持ち帰って家族クラスター、という筋書きが恐ろしいわけだけれど、

特に日常生活が一気に戻りすぎる時が危ない。学校再開はそういう意味でとても怖いです。ただ未成年の中でも低い年齢、小中学生は今の自粛状態の条件下では持続的な伝播は起きないものと考えられます。
特に重点的な対策が必要なのは、大学や専門学校に通う10代後半から20代です。勉学や仕事ではICTを利用して接触を減らしてほしい。そうした対策で感染者が減っている状況を持続できると、ぐっと感染者数を減らせると思います。
・・・
ーー先ほど、大学や専門学校でICTを利用して接触を減らしてほしいとおっしゃっていましたが、小中高は休校などは必要ないのですね。
 
今のところ、小中高校生のデータを分析している限りでは、ここまでの対策レベルを維持していれば伝播がそこで続く状況ではありません。大学生以上は伝播が維持・拡大し得ます。そこに相当違いがありそうです。
だから、小中高生の感染リスクは、大学生より上の成人の流行に大きく左右されます。
いまの対策レベルが継続できれば、人口レベルで感染が減ると、小中高での感染も減ると思われます。対策もICTを活用しつつ、感染が起きてしまった場合には早期に接触者を把握するという、文科省の方針でだいたい良いのだと思います。
一方、小中高生も一律に考えるのは難しい。彼らの年齢でも対策をやめてしまって接触が増え始めると、伝播が続くはずです。
それを裏付けているのがイギリスの経験です。
イギリスで成人の予防接種が終わった後、デルタ株で流行が起こって、サッカーの大きな国際大会がありました。予防接種していない成人の感染が起こり、その背後で、ボルトンやベットフォードなどデルタ株による流行が最初に起こった土地で、まず小学校、中学校の集団発生が多発していたのです。
主に未成年の間で流行が立ち上がり、感染拡大しました。大人の行動を見ながら子供の接触も変化しているようです。日本の第5波ほどの感染予防の行動ができておらず、一気に流行が拡大しました。
そこから考えると、接触がコロナ以前のレベルに戻ると、おそらく小学校でも中学校でも感染拡大し得ると思います。そういうことが日本でも起こる可能性があることは頭に置いておいた方がいい。
今の自粛具合での対策と、接触が以前のように戻った場合の対策は切り分けて考えた方がいいということです。

であると。ふむ。

9/10.
緊急事態宣言はあらかた延長が決まる。しかしまぁ感染状況の数字は落ち着いてきてるように見えるのは確か。
ちょっとおもしろいと思ったTweet


ふむふむ。
たしかに、感染しやすさに濃淡があるとして、濃い部分だけに焦点を当てれば、集団免疫の分母は意外に小範囲ごとに分断されてて意外と早く達成されてしまうという考え方はありうるなあと。
そして、ただし、ここにもさいしょのころに書いたように、「「人」に注目せず「場」に注目するべし」の方針に自分的に従うならば、感染しやすい人、というのも体質的にそうだというよりは、そういう場に居合わせやすかったりそういう行動様式を取りがちな人、というふうに考える。
するとたとえば、
このあたりのTweetと考えあわせて、つじつまを合わせる理屈はありうる。
そのスレッドで紹介されてた峰先生の8/31付けの記事。
business.nikkei.com

第5波はなさけない形で収束する?

―― そんなお考えを伺ったあとで大変恐縮なんですが、第5波はどうなると見ていますか。

峰:これはあくまで現時点での個人的な意見ですが、私は第5波は秋のうちには収束してくれるのではないかとは思っています。

―― 思わず飛びつきたくなりますが、それは、どの辺に最大の根拠がおありなんでしょうか。

峰:これは、収束するとはいっても「いささかみじめな状態で収束するんじゃないか」という話です。第5波は、ワクチンの接種率向上による面やもちろん接触抑制による面もあるとは思いますが、まずはブルネラブル(vulnerable)……感受性が高いとか、脆弱なとかいう意味もあるんですけど、同時に社会学的な行動状態もあって、「よりリスクを取っている人」が、感染し尽くすという可能性があると思うからです。

―― うわあ。感染しやすい生活習慣を取っている人が感染し尽くして止まる、というようなイメージですか。

峰:そうそう、それで収束する可能性はあると思いますね。ただこれは「理屈としてはそうなる可能性があるだろう」という予測です。そもそも、今もうワクチンを打っている人、そして打ちたいと希望している人は、予防行動もしっかり取る人が多くて、「ワクチンなんか関心ないよ」とか「打たないよ」という人は、「マスクぐらいはしてもいいけど、みんなもう飲みに行っているし、自分も遊んでもいいだろう」ぐらいの感じの人が多いと思うんですね。

―― そういう人が、感染リスクが上昇している中に出て行く。感染者も増えますね。

というわけで、たしかにそういう理屈はひとつありうると。
ただそうなると、
とにかくいままだ学校が休校状態だとか、大学も秋学期が始まってないとか、そういう状態で、つまり、いまは感染しやすさの薄い行動様式におさまっている層がふたたび感染しやすさの濃い活動をし始めたら、ということは考えるなぁ…。
まぁそのあたりはあくまで素人の考え。

さて、恒例のやつで、このタイミングでいまの、公式の数字をみてみる。一時期は相当やばかった(8/16にここに書いてたね)けれどいまはもっともエクストリームでやばかった時と比べるならば、少し、おさまってきてるよ、ということで、「10万対発生数」が、東京82.9、大阪131、兵庫82.1、京都82.7、奈良63.2、ってところ。実効再生産数で見ると(これは東洋経済のサイトのほうの数字)、全国0.73、東京0.68、大阪0.8、兵庫0.81、京都0.77、奈良0.75、ってところ。ちなみに東京の検査陽性率は10.6%(最高は8/14-15の24%あたり)。京都の検査陽性率が9/9付で14.8%(最高は8/26付の25.9%)。下がってはきている。下がってきてるじゃんと感じる感覚がやばいわけですが。もうひといきふたいきですかね。そして、「十分に下がった」といえるまできっちり下げるべしと、やはり思うなあ。

9/12.
ワクチンの作用について、基本のところの説明でなるほどよくわかりましたというのをNHKあさイチ』で。
www.nhk.jp

改めて確認 ワクチンの効果とは?
 
一般に、ワクチンに期待される効果には、次の3つがあります。
 感染予防効果(ウイルスの感染そのものを防ぐ効果)
 発症予防効果(たとえ感染したとしても症状が出るのを防ぐ効果)
 重症化予防効果(人工呼吸器が必要になるような重症になるのを防ぐ効果)
ワクチンに最も期待される効果は、このうち「重症化予防効果」とされています。“ブレークスルー感染”の多くが、極めて軽い症状で済んでいるということは、この「重症化予防」の効果が発揮されている証でもあります。
実は、ファイザーとモデルナのmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンについては、高い感染予防効果も期待できるというデータが世界各国から報告されていました。しかし、接種完了から時間がたつにつれ、その感染予防効果はしだいに低くなっていくことが最近の研究でわかってきたのです。
 
なぜ “ブレークスルー感染”が起きる?
 
カギを握るのは、私たちのからだの中にある免疫細胞です。ワクチンを接種すると、免疫細胞は「ウイルスが体内に入ってきた!」と勘違いして、「抗体」というウイルスなどの病原体にくっついて封じ込める特殊な物質を作ります。すると、本物のウイルスが攻めてきても抗体の働きで感染を防ぐことができます。
  
しかし、敵となるウイルスと戦う機会が無いと、時間とともに抗体の量はしだいに減っていきます。すると、たくさんのウイルスが攻めてきた場合には、抗体で無力化しきれなくなり、“ブレークスルー感染”が起きる可能性があるのです。
 
まだ、専門家の検証を十分に受けていませんが、ファイザーのワクチン接種後の抗体の量の変化を調べたイスラエルの研究によると、「抗体の量は毎月最大40%ずつ減少する」ともいわれます。
 
ワクチンの専門家・中野さん「接種完了から時間がたつほど、“ブレークスルー感染”のリスクは高まっていくと考えられます。また、2回目の接種から2週間後、抗体の量がピークにあるときでも、感染した人のせきやくしゃみを浴びるような、大量のウイルスにさらされたときにも“ブレークスルー感染”が起きるリスクがあります。デルタ株は感染力が従来株よりも強いため、“ブレークスルー感染”が起こりやすいかもしれません」
 
重症化予防効果は 時間がたっても期待できる!
 
とはいえ、たとえ接種完了から時間がたって抗体の量が減って感染自体は防げなかったとしても、重症化予防効果は十分期待できるといいます。
 
アメリカ・CDC疾病対策センター)の報告によると、ワクチンを2回接種した人は、一度も接種していない人に比べて、入院リスクが30分の1にまで低下したそうです。いったい、なぜなのか?
 
実は、ワクチンを2回接種すると、免疫細胞は新型コロナウイルスの特徴をしっかりと“記憶”し、「こいつは危ないぞ!」と臨戦態勢でスタンバイします。すると、新型コロナウイルスが体内に侵入してきたことを察知したら、すぐに抗体をたくさん作ります。さらに、感染した細胞を見つけてウイルスごと破壊して、私たちの体を守ってくれます。
 
それでも、免疫細胞がウイルスと戦い始めるまでにはタイムラグがあるため、感染自体は防げなかったり、症状がある程度出てしまうこともありえます。ただ、免疫細胞がウイルスとしっかり戦ってくれたら、重症化は防げる可能性が高いのです。

そもそもワクチンを打つと何がいいのかというというのに、2つのレイヤーがあって、
 基本的には「免疫細胞に「記憶」させる」こと。     
  → それによって、発症や重症化を防ぐ。
 ついでに、接種したら体内に抗体がたくさん作られること。
  → それによって、しばらくは感染予防も期待できる。
ぐらいのかんじで理解しておけばいいか。
ちなみに、「あさイチ」では、じゃあ、免疫細胞の「記憶」がいつまでもって発症予防・重症化予防の効果はいつまであるのか、というスタジオの質問には、専門家の人は直接は答えなかったと思う。それはつまりそんなもんはまだわからん、世界中でまだそこまで時間が経ってないのでデータも揃ってない、ぐらいの感じかと思う。

9/21.
感染者は減少してきている。やはり油断はすべきでないといいつつ、かなり順調に減少しているようにみえるといっていいようだ。ただ、なぜここまで順調に(急激に、という言い方をとるひともいるようだ)減少しているのか、についての説明が簡単につきにくい、というのはあるようで、原因がわからないまま事態が良くなったということは、また原因がわからないまま事態が悪くなることもありうるわけで、まぁそれはやっぱり安心できないよね、というわけである。



9/29.
さて、緊急事態宣言は解除になる模様。それはまぁそうだろうなと思いつつ、現在この現時点の数字だけ見た時、まだ安心だよの感染状況ということではないわけで、解除したとたんに反発するというのはこわい。
ううむ、感染状況とか実効再生産数のデータを毎日見てるけど、たしかにちょっと下げ止まり感を感じるんだよなあ…ちょうどきのう、そのへんグラフをいろいろ見比べたりしてたところ。
まぁ、自分含めと言ってもいいけれど、なんとなく気持ちがゆるんで油断しそうなのも確かなのである。
学校の対面授業を再開させる方向なのだけれど、キャンパスに戻ってくる学生さんをちゃんと必要なだけコントロールできるかが肝だと思っている。
「自覚を促す」というのがあまり意味をなさないというのは、よくもわるくも、これまで全国的にもわかってきたことだと思う。自分はやはり「コントロール」という発想をするなあ。ひとびとができるだけ気持ちよく、無意識に、進んで感染予防的行動をとるような・感染拡大的行動を回避するような、仕組みをつくる、といういみで。

ようやく散髪をした。

タイミングを逃し逃してひと月半以上ぶりに散髪をした。少し前にチャレンジしようと店の前まで行ったら閉め切った中におじさんが3人待っているのが目に入って、きびしそうだったのでやめた。それで暑い中モサモサしながら過ごしたり仕事に行ったりいろいろしてまた本日、チャレンジしたところ、待っているおじさんがひとりだったぽくてまぁここで引き返すときりがないと入店。たぶんさいきん一人で切り回してる散髪屋さんで、切ってる中の客がひとり、それから待ってるおじさんがひとり、で自分。待ってたおじさんはたぶん年齢的にワクチンは打ってる世代ぽいかなあと思いながら、二重マスクをして押し黙って2カ月前の週刊文春か何かを読んでた。テレビではワイドショーでずっとコロナの話。店は狭くて閉め切っていて、プラズマクラスター的な空気清浄機が置いてあるのがきつい。で、しばらくすると別のおじさんがまた来て、それから少したって切ってた客の散髪が終わり、自分の前のおじさんが呼ばれる。でまたずっと待ってたら自分が呼ばれて、まぁなるべく簡単に切ってもらって、終わって店を出たら1時間以上たってた。なんか散髪ひとつしてもらうのでこのぐらいしんどいというのもしんどいなあ…。

自分むけにCOVID-19関連について現時点でどう考えることにするかをまとめておく。(その15:8/2-)

いよいよ東京で数字が上がってきた。曜日の具合も注視しつつだが、東京の新規感染者数が、7/28に3000人を超え、7/31には4000人を超えるというなかなかのエクストリームなかんじ。
さしあたりいまの、公式の数字をみてみると、「10万対発生数」が、東京145.6、大阪59.9、兵庫31.2、京都37.4、奈良25.8、ってところ。実効再生産数で見ると(これは東洋経済のサイトのほうの数字)、全国1.77、東京1.74、大阪1.74、兵庫1.92、京都2.02、奈良1.61、ってところ。
これらの数字は、以前は、
自分むけにCOVID-19関連について現時点でどう考えることにするかをまとめておく。(その10:3/18-) - クリッピングとメモ ←この記事の3/20ぐらい。
自分むけにCOVID-19関連について現時点でどう考えることにするかをまとめておく。(その12:4/25-) - クリッピングとメモ ←この記事の5/7ぐらい。
自分むけにCOVID-19関連について現時点でどう考えることにするかをまとめておく。(その13:5/17-) - クリッピングとメモ ←この記事の5/30ぐらい。
で見てる。
いま現在の「10万対発生数」を見るというのもだが、過去と何が違うというと、実効再生産数がやたら高いかんじがする。そうすると、あっというまに感染者数は倍増するよというわけで、これはちょっとなんというかエクストリームである。
さてそしてしかし、この現在の東京の数字に関しては、検査陽性率が7/30付で19.5であると。つまり、かなり検査が追い付いてないよという事だろう。
stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp

例によって忽那医師の記事。
news.yahoo.co.jp

「入院した“感染経路不明”の人 多くが感染リスク高い行動」
それはそうでしょうという記事。感染経路不明、と聞くと、水も漏らさぬ対策をしていた人が謎の感染をしたようにかんじるかもしれないけど、たぶん多くはそんなことはなくて、全般で緩いのでどれが決め手かわからない、というほうが多いだろう。「ちゃんと注意してました」みたいに訴える人でも、聞き取りをていねいにやると、いろいろ出てくる、というかんじ。www3.nhk.or.jp
そのへんはね、じつは大学の感染対策の会議なんかを聞いていても感じるし、ふだん学生さんと喋っていても感じる。非常にぴりぴりとストレスフルな生活をしているようでいて、意外とわきが甘いというのを見かける。また、学生さん本人がしっかりしている場合でも、学生さんのバイト先の話を聞くと、世間には愕然とするぐらいノーガードのひとたちがたくさんいるのである。えーとつまり、お客さんで来るひとたちの様態ということですな。こういうのはたぶん、大学界隈の中で生きている大学教師と、世間にもまれてバイト生活をしている学生さんたちとでも、見てる世界が違うだろうというのはある。

8/3.
坂本先生の記事。
www.buzzfeed.com

今まではちょっとマスクを外すなど隙ができても、やられる可能性は低かった。でもデルタはちょっとした隙をついて感染させる効率的なウイルスになっています。

ーー従来株からの感染力のパワーアップをわかりやすく伝えるとすると、どれぐらいの行為で感染するウイルスになっているのでしょう。

例えば、無症状の時期の感染者を含むお友達2〜3人でランチに行って、大騒ぎするわけでもなく普通の声で話して感染している人がいます。または職場でマスクを外して少し話をするとか、それぐらいでも感染しています。

こうした飛沫を浴びたり吸ったりするチャンスが生じる行為は、これまでも何度もやってきて、無事だったかもしれません。しかし今は同じ行為でも感染のしやすさがうんと上がっているのです。

ーーこれまでの濃厚接触者の定義は、「1m以内の距離で、 必要な感染予防策なしで患者と15 分以上の接触があった人」ということでした。デルタ株ではこの定義は甘いのではないですか?

デルタ株では「15分以上」は長過ぎるかもしれません。その時の声の大きさや距離の近さなど状況にもよるかもしれませんが、デルタ株の場合は15分以内なら感染するリスクが低いとは考えにくいです。

ーーとなると、デルタ株ではこれまでよりももっと警戒感を上げなくてはならないのではないでしょうか?
 
でも、やらなくてはいけないことは同じです。コロナが流行し始めてから1年半も経っていて、コロナ疲れも限界に達していますね。
ですから、「今までとは別の新しい対策」というよりは、「今までやらなければいけなかったけれども、そろそろ嫌になって止めてしまっている対策」を徹底した方がいい。その中でも特にリスクの高い行為について、「今は止めておこう」と呼びかける方がいいのではないでしょうか。
例えば、一緒に住んでいない人と一緒にご飯を食べにいくとか、帰省するのを止めておく。やれば効果があるけれど止めてしまっている対策を復活させましょうという段階だと思います。

院内で集中治療室を見にいくと、40〜50代の男性が多いです。管が入り、意識がない彼らは、誰かのお父さんであったり、息子であったりする。働き盛りの人たちということもあり、回復してもらえるよう、医師や看護師らが暑い中で防護具をいっぱい着込んで治療しています。
そういう患者が増え、救急車の出入りも増え、受け入れられない人も増えている。外来には熱を出した人がいっぱいいる。
病院の中はそんな感じなのに、テレビをつけるとオリンピックで盛り上がっている。この国にはいま、二つの違う世界が存在しています。
会社員は連れ立ってご飯を食べに行き、その横を救急車が走る。
悪気があるわけではない。でも、こうした無防備な人たちへのメッセージはどうなっているのか。この国で暮らしている人たちが医療を受けられないしわ寄せがもうきているのです。そこを政府はどう考えているのかがとても見えにくい。


西浦先生の記事。もう少し悲鳴感がある。
gendai.ismedia.jp

みなさんに私からもお願いしたい。どうか、今回ばかりは皆で協力して一旦切り抜けることはできないだろうか。ヒトからヒトにうつる病気の感染リスクは、まだかかっていない人の周囲の人の感染状態に依存しており、1人がかかると、次の方のリスクが急上昇することに繋がる。皆で感染が止まると、集団レベルでリスクを下げることができる。様々な不満もあるかも知れないが、皆さんの協力がなければ秋以降を見通すことができない。

このあたりは芸風というか、実務と理論というか。「英知においては悲観主義者、だが意志においては楽観主義者であれ。」 というやつで。
理論的に見通せば、あきらかに相当悲観的な予測がはっきりと見えていて、そのことを声を枯らして警告しなくてはとなるだろうし、感染対策の実務としては、どんだけ悲惨な状況の中でも粛々とやるべきことをやってよりよい(よりましな)現実を実現するしかないわけなので。
坂本先生と西浦先生に見えているものが違うというわけではなくて、同じものが見えている、ただ、立ち位置がちがうわけだろう。

ーー医療の負担も増えていますか?

我々は限界を超えたらお断りせざるを得ません。
感染対策は1年半やってきていますから、淡々と受け入れて治療やケアをする。重症化したら集中治療室に移して、管が抜けたらコロナ病棟に戻し、元気になったら退院するなりリハビリ病院に移すなり、治療の流れはできています。
もちろん患者が増えたら負担は増えるのですが、そこを超えて阿鼻叫喚の世界にはなりません。
むしろ、感染者が増えて困るのは病院ではなく、受け入れてもらう病院がない人たちです。

これ、実務家の立ち位置である。いうまでもないけど、病院が阿鼻叫喚の世界になったら社会全体が困るわけなので、これは病院のエゴを言ってるわけではないし、悲惨が見えていないわけでもなくて、自分がハンドルできる範囲内で全体の状況を最善にする最適解を言うとこうだよ、ということだろう。

8/4.
デルタ株になってということになるだろうけれど、目について気になる情報は、「スーパーや百貨店でクラスター」というやつ。


これ、基本的には、各社が発表しているのは、従業員の人たちの感染というおはなしで、まぁおそらくはバックヤードで感染が広がったよというふうに、これじたいは解釈できる。換気の悪い狭いバックヤードで長時間の作業をする業種でもあるのかもしれない。あるいはそもそも、こういう客商売のところはクラスターが出たら即時発表をするので目立つけれど(大学もそういうところがあるのだが)、じゃあほかの業種で感染者がいないかというとそうでもないだろう、黙っているところは目立たない、というのもあるだろう。また、こういう感染爆発状況の一般的な反応として商業施設について集中的に調べてまとめる人が出てきただけで、これらのお店も以前から(大学と同じく)粛々と感染者情報を出し続けていたのかもしれず、それをこのタイミングでまとめて可視化することじたいがパニック反応の一面ということもあるのかもしれない。まぁそういうもろもろをふまえたうえでなのだけれど、ふつうに考えるのは、じゃあそのお店を利用したお客さんとの間ではどうなのか、お客さんから従業員の人が感染してしまったということはあるのか、従業員のひとからお客さんが感染してしまうことはあるのか、ということ。で、お客さんのほうに感染しているかどうかというのはたぶんなかなか把握しにくいだろう(とくにこの状況では)。そうすると、もう少し情報が出てくるまでは、頭に入れておく必要はあるかもしれない。
基本的に、モノの表面に触ることを介して感染する確率は十分に低いとしたもんだとなっているはず。なので、買い物をして帰ってきて商品をいちいち消毒したりとかは必要ないだろう。問題はたぶん、換気だろうなあと。バックヤードが換気がわるかったのだろうと考えるなら、そもそも店内の空間そのものもさして換気はよくないんじゃないかとは以前から思ってたんだよなあ。特に夏場、空調をかけると換気はおろそかになるとか。あるいは、これも前から気になっているのだけれど、ビルの中にある商業施設だと、窓ははめ殺しだし、換気は空調といっしょにおこなっているはずで、まぁそれはそれでいいのかもしれないけれど(建築の規準というのがあって、換気についてもとうぜん基準をクリアしているはず、前にちょっとだけ調べたけど、たしかに、CO2濃度の規準もあるし、あと、コロナ以前にインフルでもなんでも空気感染する病気はあったわけでそのあたりも念頭にはおいてるはず)、そのへんもちょっと気には留めたくなるよね。

k先生が反応しておられた。スレッドを参照。
このへんは「風評被害」とのかねあいがむつかしいと思いつつ。「二重マスク」「短時間」「黙って」ぐらいを多くの人が守ることかなあ…

坂本先生ツイート。

8/8.
東京の検査統計が飽和してしまって実態をあらわせなくなってるんじゃないのというツイート。
まぁ、検査陽性率が高くなっている、というのはすでに事実なのだけど、「検査飽和、統計崩壊」とは穏やかではないなぁ…。統計が崩壊するというのは、集計するしくみみたいなものも機能不全になるということかしらん。
それはまぁありうるなぁ…。
でも、東京の実効再生産数が下がっているのを統計崩壊だけのせいにもできなそうな気もして、
たとえば、まだ検査飽和になってなさそうな地方の動向を見て、そこも同様に8月頭ぐらいから実効再生産数が下がってるように見えなくもなかったりすると、これはやはりじっさいに実効再生産数が下がってきてると見ることはできないだろうか?
もちろん、このタイミングで全国的に実効再生産数が下がる要因はあんまり見当たらない。みんなようやく怖がって行動自粛に本気になり始めた?オリンピックを自宅観戦してる?そのへんが効いているというニュースは耳にしない(ていうか、効いてないよというニュースを耳にする気もする)。だとするとやはり検査や統計が機能不全になってる結果を示してるということなのか…? うーむ。検査も感染者数の集計も、よく知らんけどたぶん想像では、地域(都道府県?)ごとでやってるんだろうと思って、だとすると、全国同じタイミングでおなじように機能不全を起こすというのは考えにくいんだよなあ…。
わからん。まぁ、たぶんそんなに待たなくても答え合わせができちゃうんだろうな…。

8/10.
上にTweetを貼り付けた、検査崩壊に関する件。自分的には、念頭には置きつつ、でも東京以外のまだ感染爆発してなさそうな地域でも同じ傾向が見られるのだから、やはり感染拡大の勢いがここ数日抑えられてるというデータがまるきり統計の機能不全だけによって見かけ上そう見えてるに過ぎないとまでは言えないのでは…というぐらいの湯加減だったのだが、
ふむ、「7/30厚労省通知」というのが鍵であると。
自治体・医療機関向けの情報一覧(事務連絡等)(新型コロナウイルス感染症)2021年|厚生労働省
ここ↑にある「感染拡大地域の積極的疫学調査における濃厚接触者の特定等について」と「(別添)感染拡大地域の積極的疫学調査における濃厚接触者の特定等について」のことだろうな。うーん、いくつかの県の実効再生産数の変化と感染状況を見つつ、「東京以外のまだ感染爆発してなさそうな地域でも同じ傾向が見られる」かなあと思ってるのだけれど、たとえば和歌山とか福島とか?東京と同じようなパターンで、7月下旬から感染者増加、8月頭から増加の勢いが抑えられる、みたいなかたちにはなってる…このあたりが、この厚労省通知と関係してくるという見方はあるていどありそうかな…。ただ、積極的疫学調査そのものは、基本的には、感染拡大を食い止める手段であるのだから、厚労省が何を言おうが言うまいが、その地域の感染拡大を食い止めるためにできるかぎりやることなはずであって、厚労省の通知があったから全国で検査の方針が一斉に変わりました、とまではいえないんじゃないかとも思う(逆に、厚労省の通知は後追いみたいなもので、東京みたいに、地域の検査体制が通常のやり方ではまったく追い付かなくなったときに、可能なやり方を後付けで決めて体制の完全崩壊を防ぐ、みたいなものだろうから、通知が原因というよりは、やはり通知は感染拡大地域の検査体制がサチりはじめた結果ではあるのだろう)。…というわけで、検査体制が厳しくなり、厚労省もそれを認め始めたという事はたしかにありそう。→ちなみに、こういう、積極的調査をやめるみたいなことは、見覚えがなくはなくて、ここ(https://k-i-t.hatenablog.com/entry/2021/01/02/090710)でも、1/17付で、「「感染蔓延で経路調査に意味なし」 神奈川県、感染経路や濃厚接触者の調査を原則やめると発表 全国初<新型コロナ>2021年1月8日 23時31分」という記事をクリップしてた。→いやいや、7/30の厚労省の通知って、文字通り読むと、「緊急事態宣言対象地域、又はまん延防止等重点措置区域であって、保健所業務の逼迫等により積極的疫学調査を行うことが困難である場合、これら地(区)域に指定されている期間中に限り、」という条件のところだけがあてはまるわけだし、べつに積極的疫学調査をやめちゃうというほどの話はしていないんじゃないか(「下請けにだしてもいいよ」ぐらいのイメージ?)。また、ほかのところもそうです」に書いたのでいくと和歌山県はいまのところ緊急事態にもまん延防止にもあてはまってなくて、福島県も8/8からまん延防止のほうが始まるわけで、8月頭は関係ないですな。

いや、しかし、「下請けにだしてもいいよ」っていうか「陽性者が確認された事業所が、保健所業務の補助として、本人の同意を得た上で一定の基準(別添参照)に基づき濃厚接触者やその周辺の検査対象となる者(以下「濃厚接触者等」という)の候補範囲を特定し、濃厚接触者等の候補者リストを保健所に提示することにより、保健所が適切と認定した場合(範囲)において、行政検査として必要な検査を実施することも可能です」となれば、「事業所」が正直にやるとは限らないのか…。
これ↓、バズってて目に入った「告発」ツイート(スレッド参照)で、「ほかのところもそうです」みたいに賛同している関連ツイートもある。まぁこれだけを見て100%真に受けるべしかはともかく、そういうことは起こりうるなあと考えさせられる。
このあたり、何をクラスターとし何をクラスターとしないのか、というのはけっこう「何で?」ということはあって、でも事業者にとってみれば「クラスター」認定されないのとされるのではかなり大きな違いになるという。

8/14.
ワクチンの効果が、接種後にどう減衰するか、という件についてのTweet
てごわいなあ…。

検査について。
じぶんは、基本的には、自分が読んだ入門書通り(たぶん)の考えで、検査陽性率5%を目安としてそれ以上に「PCR検査を増やすべし」とは考えない人(いま現在は、感染拡大地域で陽性率がばか高い、20%超えとかあるので、これは検査が足りてない状態、とうぜん今は「増やすべし」のフェーズでまちがいないだろうと思う)。それは、本で読んで理屈で納得したというのもあるし、また、職場のコロナ対策の会議で情報として耳にするあれこれのなかで、実際のPCR検査というのがけっこうあてにならん、陰性だったのがあとで陽性になるとか、陰性だけど咳が止まらないとか高熱が出るとか味覚がなくなるとか(もちろんコロナ以外で咳や熱が出ることはあるわけだから基本的には陰性ならその時点ではひとまずコロナではないとせざるを得ない)、そういうばあいがけっこうあるんだよというのを耳にするわけで、まぁつまり、あるていどリアルに、PCR検査をあてにした感染制御ってしんどいだろうなという感覚がある。えーとたとえば旅行の前にPCR検査を受けて陰性を確認して安心して行く、みたいなのがあんまり意味ないだろうなあという感覚はある(全くの個人的な偏見だけど、そういうのって、「PCR検査」っていう聞きなれない英語っぽい名前が「科学的」っぽく聞こえちゃうことや、お値段が高いことによって、なんとなく神格化しちゃうような心理はあるんじゃないかと思う)。Twitterのタイムラインなんかでは、よく、「PCR検査を増やすべし」の人が、そうじゃないお医者さんなんかを「検査抑制派」と呼んだりしているけれど、どっちかというと、「検査推進派/検査抑制派」の対立軸というより、「行動制限抑制派/行動制限推進派」って言ってみたらいいんじゃないかなあと思う。感染を防ぐのは行動制限であって、検査しようがしまいが、行動制限しなければ感染はひろがるし、行動制限してれば感染は広がらない。極端な話、全地球人が2週間まったく引きこもれば、コロナは地上から消えるわけである。「PCR検査を増やすべし」の人は、検査こそ感染制御の基本というわけで、まぁたしかに検査の精度が理想的に高くて当てになれば、それはその通りだと思うんだけれど、いかんせん、PCR検査ってけっこうザルだよ、ということになればおはなしはちがってくる。「PCR検査を必要以上に増やしても意味ない」と言ってるお医者さんたちは、それと合わせて「行動制限をしないといけないですよ、検査で陰性が出たっつって飲み会やったりしたら逆効果ですよ」と言ってるわけで、そっちからみればたしかに、「PCR検査を増やすべし」という意見は、実質上、「行動制限抑制派」と見えなくもない。「PCR検査なんて当てにならないんだからとにかく検査するしないに関わらず行動制限しましょう」に対して、「PCR検査こそが重要」と言っているのだから。 
… というのがまぁ前振りで、しかし、上↑のTweetで言われているように、デルタ株以来、ウイルス量がやたら多いってことで、結果的に検査の精度が上がってきちゃってるようなもんだと…こうなると、簡易の抗原検査をじゃんじゃん有効活用することに相応の意味が出てくるのかなあと思ったり…?

8/16.
そうそう、検査のはなしで追加。とくに新情報ではなくて、思っていたことを書き留めておくメモ的ないみで。
PCR検査こそが重要」の意見のなかに、コロナでは無症候感染者がたくさんいるのだから検査しなければ放置されて市中に蔓延してしまう、でも見かけ上の感染者数を少なく見せようとして検査抑制しているんじゃないか、という推測が入っているばあいがある。でもたぶんそれはあたらない(すくなくとも、デルタ株以前には当たっていなかった)んじゃないか、というおはなし。なぜなら、少なくともある目安(「検査陽性率5%」とかなんとか)にしたがっていちおう検査&接触者追跡が機能している状態であれば(いまの感染爆発地域は違うのだけど)、ある検査陽性者が出たらそこから感染する可能性がいちばんありそうな人はそれなりに追跡できてるという理屈なので。で、もちろん、そこで「濃厚接触者」の定義から外れて検査をしなかった人がじつは感染していたということはありうるけれど、もしそこから感染が広がれば、遠からずどこかでまた症状の出る人が出てくるだろうしそうすれば検査の網に引っかかってくるだろう、という。えーとつまり、無症候感染者だけがどんどん市中に際限なく広がる、ということを考える必要があるか、というはなしで、理屈からすれば、それはあまり考えないでいいことだよ、ということになっているはずなんである。少なくともその理屈で、この1年半のうちのすくなくとも最近までは、おおむね感染制御できていたわけで、そのやりかたそのものが間違ってたと考える必要はないだろうというのが自分の理解。ただ、くりかえすように、今は感染拡大地域では検査陽性率が高くなってるので「仕組み」がうまく機能しなくなってきてる可能性がある。また、デルタ株以来、「濃厚接触者」の定義を変える必要があるかもしれないけれど、たとえば「換気の悪いショッピングセンターにある時間帯にいた人すべて」みたいにまで拡大すると接触者追跡のシステムそのものが成立しなくなるわけだから、そういうエアロゾル感染については(いまのところ感染の主流ルートとまではいえなそうだとすれば)目をつぶって(いまだに感染の主流ルートであるといえる?)従来の「濃厚接触者」の追跡にまずは注力する、というやりかたで対処することになるのかもしれない。まぁ、エアロゾル感染にしたって、解決法としては「危険が十分に減るまで換気をする」しかないわけで、検査を増やしてもそれ自体として感染を減らすことには(たぶん)ならないような気がする。んだけど、まぁとにかく今は感染爆発・検査陽性率上昇をなんとかして、デルタ株の影響を見極めないといかんフェーズなのはまちがいない。

緊急事態宣言、東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県と大阪府沖縄県の期限を9月半ばまで延長&京都府と兵庫、福岡両県にも新たに宣言を発令する方向で検討、のニュース。やれやれ。
この記事の一番上で、8/2時点の数字を挙げておいたのを再掲すると、

「10万対発生数」が、東京145.6、大阪59.9、兵庫31.2、京都37.4、奈良25.8、ってところ。実効再生産数で見ると(これは東洋経済のサイトのほうの数字)、全国1.77、東京1.74、大阪1.74、兵庫1.92、京都2.02、奈良1.61、ってところ。

で、半月経っていまはどうでしょうというと、
「10万対発生数」が、東京214.1、大阪113.2、兵庫67、京都90.3、奈良54.6、ってところ。実効再生産数で見ると(これは東洋経済のサイトのほうの数字)、全国1.16、東京1.06、大阪1.21、兵庫1.2、京都1.28、奈良1.16、ってところ。ちなみに東京の検査陽性率は24.0%。京都の検査陽性率が8/14付で19.5%(最高は8/10付の20.3%)。エクストリーム度合いが向上している。

8/19.
10日ぐらい前とか↑に、いわゆる「検査がサチってるのでは」についてのTweetを貼り付けた。で、たしかに検査陽性率は高いので検査が追い付いてないのは確かだが、しかし8月頭ぐらいに少し感染拡大の勢いが(具体的には実効再生産数が)加速度としては落ち着いたように見えたのがまるきり錯覚だったともいえないのでは、という気もしていて、しかしまぁ答え合わせはすぐに出てくるなあと思いつつ全国でさらに感染が拡大しているように見えるのだが、
西浦先生のTweet(スレッド参照)。スレッドからいくつかピックアップして貼り付けておく。発症日別の年齢群別データ。グラフの灰色のところは「報告の遅れ可能性のある期間です(今後まだ積みあがる箇所)」。
「…明らかに私が過大評価をしたと思っています。7月後半部で急ブレーキがかかっている…」(検査が追い付いていないことを勘案しても)「0-39歳、より厳密にはより低い年代での伝播が7月後半部にやや止まったことによって、感染者数の急上昇が止まっているものと洞察しています」というかんじ。


まぁ、感染拡大そのものはいまもしているわけで、「急上昇」の勢いがやや落ちただけということでもあり、また、たぶんフェーズとしては首都圏から全国に感染拡大の傾向が広がってるのが今だと思うので、東京の加速度が多少鈍ったからといって、超最悪が最悪になったぐらいの最悪さかげんていどであることは肝に銘じるべしとは思う。まぁ、これも上に貼り付けた西浦先生の記事の時点の超最悪の見通しよりは持ちこたえてて、西浦先生自身が見通しを修正したよ、という事ではあるようだ。

8/24.
かなりきびしい&きびしさを増している状態は続いているみたい。
ところで、Twitterで見かけて、おや?と思った図。出典は東大病院のHPのコロナの説明(URLからは今年の4月時点かな)のところに出ているってことだけれど、これだと、「感染性がある期間」と「ウイルスが検出される期間」のスタートが同じタイミングになってる。Twitterでは、この図を示しながら、検査と隔離があたりまえの基本なのになぜやらないのか、という調子のツイートを見かけたわけだけれど、そりゃこの図の通りならそうなるわけである。しかし、自分の認識では、検査でウイルスが検出されはじめるタイミングは感染性が出はじめるタイミングよりも遅れる、ということだと思ってる&自分が耳にするケースでもけっこうそういうふうになってるように思われるので、だからこそやっかいで検査はあてにならんからこの騒ぎになってる、と認識している。
んだけど、さすがに天下の東大病院がこの図を示してるとなると、ちょっとマークしておかざるをえんなあ…。
www.h.u-tokyo.ac.jp
f:id:k-i-t:20210824084255p:plain
ちなみに、
自分がいまのところ信用しているのは、5/17のこの欄で貼り付けたTweetから見れた、この図↓。
f:id:k-i-t:20210824095059j:plain
これ、もとは(いまTwitterにカギをかけておられるが)発熱外来でコロナを見まくっているという先生のTweetを図に起こしたもので、相応の信頼性はあると考えている。経験からくる目安ということなのでこの通りにならないこともあるということではあるにせよ、ようするに「人にうつす可能性がある」「発症する」「PCR陽性が出る」のタイミングがずれるよ、発症しててさえPCR陰性になることはめずらしくないよ、というところは変わらないだろう。陽性が出るまでに何度かPCR検査をした、というケースを耳にすることはめずらしくないと思う。なので、感覚的にこっちの図のほうがぴったりくるんである。

8/26.
東京が妙に(見た目の)感染拡大の勢いを下げているようにみえることについてのTweet。これもスレッドを参照。いくつかピックアップ。
ようするに今の東京の数字は半月前のお盆休みによる一時的な効果であると。なのでまたもとにもどる。逆に地方ではお盆休み効果が感染拡大としてあらわれてるよと。

検査について、Twitterで見かけた「反・検査抑制論」のTweet(なのかな?)。たとえ話の作り方として興味深かったのでクリップしておく。
このたとえ話を見ると、一瞬、「大きな網を張ってお金かけてシラミ潰しで探す」が正解に思えるけれど、
このたとえ話に乗りつつ言うならば、たぶん、その外来種は、ときどき大きく跳ねて水面から姿を現すよ、という。なので、それを見つけて捕まえたうえでその周囲をある程度の大きさの網ですくって、だいたい5%=100匹のうち5匹ぐらいの割合で外来種がまざってるぐらいなら、まぁ、おおかた繁殖を抑え込めるよ、という。5%よりも多くなってきたら、網の大きさをもう少し大きくしておおむね5%以下をキープすべしとなるね、という。まぁそういう解答を考えた。

8/27.
従来の飛沫、空気感染(=airborne transmission)の定義の再考を行うべきとするレビュー論文が出たよのTweetみたい。スレッド。大まかにはエアロゾルに一層注意すべしということのよう。
で、どうすればいいのかということで、
CO2モニタで換気状況を監視すべしということに戻る。これはやってた。
CO2濃度による換気の監視covidco2jp.wordpress.com

通勤電車で飛ばし読んだ『マンガ 夢分析の世界へ』。ほんとにマンガだった。そのことの功罪やいかに。

ふと見かけておもしろそうだったので。著者の人はユング派がベースにあるカウンセラーの人。で、こういうのはだいたいてきとうなマンガが半分ぐらいあってあとの半分が文章で説明、みたいなのが多いとしたもんだが、これは全部マンガ。解説も8コマ漫画になってて要するにあとがき以外ぜんぶマンガ。で、4つのおはなしになってて、女子大生、大学院生、OL、中年サラリーマンがそれぞれ登場する。で、それぞれに屈託をかかえつつ歩いているとふと何かに誘われるように不思議な館に行きつき…そこには謎のカウンセラーと謎のもふもふしたものがいて、「夢日記」を書いてごらんとノートを渡される。で、夢を見ては館に行ってカウンセラーにそれを話す、みたいな。そんなことを何度かしているうちになんとなく気が付いたら屈託が消えて前に進んでいました、みたいな。なんかそんなかんじのはなしが4話。でまぁ、その登場人物については、なんとなく著者の人が会ったクライアントさんとかのはなしがなんとなくもとになってたりもするようだし、まぁ著者の人もたぶんちゃんとしたカウンセラーの人なのだろうから、お話そのものとか夢そのものとかその夢の扱い方そのものについては、まぁそれっぽいのかな、というふうに感じた。あとがきにあるように、マンガで親しみやすく、ストーリーとして夢分析の本質を伝える、というねらいは、いちおう達せられているようにも見える。
まぁしかし、親しみやすいこの本で「本質」をコンパクトに伝えることがいいことなのかはちょっとわからんところもあって、つまり、本質ってことで言えば、たぶんカウンセリングの本質に近い所に、無駄な時間をぜいたくに待つ、みたいなのもあるんじゃないのか、というのがある。コンパクトな「本質」だけなんてないよね、というか。なんのこっちゃわからん夢をごちゃごちゃあつかいながら気が付いたら何年も経ってました、みたいなぜいたくな時間の流れがあってもおかしくないだろうに、マンガでコンパクトに伝えると、あっというまに登場人物が抱えていた屈託が解決してしまう。そういうものだと誤解を与えたら入門書としてよろしくないのでは、等々。
あとまぁ、あとがきではちょっと注意を喚起してたけど、まぁふつう、初対面の誰でもかれでも夢日記を勧めるなどというのはたぶんよろしくなくて、夢なんかに触ると悪化する人ってたぶんいるだろう。
あとまぁもうひとついうと、まぁこれは夢分析の本なのでしかたないけど、この本のカウンセラーとクライアント(?)の間には転移が積極的に描かれてないような気がする。そうすると、夢解釈のほうが妙に本質化っていうかなんていうか、しちゃうんじゃないかとも見える。等々。

通勤電車で読む『実践 日々のアナキズム』。なんかぴんとこなかった。

なんだかぱあっと過激なものを読んだらスカッとするかと思って通勤電車で読んでみたら意外とぬるいかんじがした。訳者あとがきによると、本書の元題は直訳すると『アナキズムに万歳二唱』だそうで、まぁ万歳三唱まではしないけれど、ぐらいのかんじらしい。また第4章が「プチ・ブルジョアジーへの万歳二唱」になってるわけで、たしかにプチブルをもうすこし再評価しようと読める。でまぁ、そういわれてみるとアナキズムといいつつプチブル的だなあ、そりゃでもアナキズムってそんなもんなのかなあ、でもアナキズムでももう少し骨のあるのはあるんじゃないかと思うんだけどなぁ、という感想。この辺↓を思い出した。
通勤電車で読む『学生に賃金を』。これはいまいちだった。 - クリッピングとメモ