干物女、こうの、なななん、岡崎京子、そして花田祐実。

出先の移動のあいだに、本屋に寄る。「かまやつ女」から『るきさん』を連想したものの、やはりそれは同じ下流とはいえ世代もエートスも違うといえば違うので、三浦が同じ文脈で挙げていた「干物女」というののもとになったマンガを買いたくなったのである。
いちおう、『ホタルノヒカリ』というタイトルだけは頭においていったのだが、店頭でみつからなかったのは、やはりマンガ読みの現役から離れて久しいので勘がいちじるしく低下した、ということかなと思った。で、めざすのを探す以前に、やはり話題であったこうの史代『夕凪の街 桜の国』、魚喃キリコ南瓜とマヨネーズ』、岡崎京子『女のケモノ道』、そして花田祐実『ロマンスコンプレックス』を見つけ、そっちを買ってしまう。

ホタルノヒカリ (1) (講談社コミックスKiss)

ホタルノヒカリ (1) (講談社コミックスKiss)

夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)

夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)

南瓜とマヨネーズ (フィールコミックスGOLD)

南瓜とマヨネーズ (フィールコミックスGOLD)

女のケモノ道

女のケモノ道

ロマンスコンプレックス (MIU COMICS)

ロマンスコンプレックス (MIU COMICS)

で、そののち別の店で『ホタルノヒカリ』も無事購入。ていうか、まず店頭で『下流社会』を見て、文献リストから『ホタルノヒカリ』の著者名と出版社を確認してから探すことにする。ただ、一般書の文献リストの書式からは、『ホタルノヒカリ』の出版社が講談社であることまでしかわからず、てっきり青年誌掲載の大判コミックスだと思い込んでそのへんに重点を置いて探していたのでよけいみつからなかったんである。初出は『Kiss』という、まぁ少女マンガ卒業組の20歳台女子むけ、ぐらいの、たぶん集英社で言うと『Young You』に相当するであろう雑誌で、まぁ、いわれてみればなるほどという感じ。

んで、いま読んでるけど、なんかもひとつやなあ、という印象。
干物女の干物っぷりをたんたんと描いてのんびり、というかんじなのかと想像して読み始めたら、いきなりかっこいい上司とぐうぜんの同居がはじまっちゃって、年下の彼氏もできちゃって、あたふた、という、なんだかふつうに定番の少女マンガなんで、かなりげんなりしている。20台後半を主人公にしながら定番の少女マンガのお話をつくるためだけに、ずっと干物でした、っていう設定を使ってるんで、なんだかなあ。このマンガを支えるターゲットの読者層ってのがあって、それはやっぱりこの主人公とおなじ干物なおねえちゃんたちで、会社帰りにマンガ買って読みながら、この主人公と同じようなかんじの脱・干物なレンアイを夢見ておるのか、と想像すると、かなりげんなりだな、と。いや、私も仕事帰りに買ってうちで寝転んで読んでるまさにそのたぐいなわけではあるのだけれど。
あと、たぶん講談社系の絵柄が合わないってのもあるのかもしれんし。

ちなみに、そういうわけで、主人公が妙にがっついているので、おかしいなと思って『下流社会』の干物女言及箇所を見直してみたら、「お嫁系」の末路、という位置づけで、「かまやつ女」とは別ジャンルということになっていて、つじつまはあっているらしいのであるけれど、なんかもうどうでもよくなってきてもいるわけである。