教育ルネサンス 50メートル走 みんな好きになる授業

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20051107ur01.htm

全力疾走が楽しくなるように40年前に考案され、今も進化し続けている短距離走の指導法がある。50メートル走のタイムをもとに、ハンディキャップを設けて一人ずつスタートをずらし、同じゴールを目指す「8秒間走」。文部科学省の「体力・運動能力調査」でも記録の落ち込みが著しい50メートル走だが、タイムは上がるか――。(丸山謙一)

 ◆実力ごとのスタート位置

 ◆ゴール前はデッドヒート

 徳島市立佐古小学校の5年生の体育授業。児童らは、名前を書いた水入りペットボトルを、自分のスタートラインに置く。6人組で走るが、スタートが5メートル以上離れた子もいる。

 「位置に着いて。用意、スタート」。スピーカーから出るテープの音声で駆け出す。8秒後に合図の音がする。そこでゴールを切っていれば合格。次はスタートを1メートル遠くする。

 「タイムの伸びは計り方に不正確さがつきまとうが、距離だと、伸びが目に見える」と、指導する浜井俊洋教諭(44)は語る。

 スタート後、6人の差はみるみる縮み、最後は横一線に近くなる。「みんなバラバラにスタートしたのに、ゴールでそろってびっくりした」と斎藤大地君(10)。

 ただ、全員が全力を出さないとゴールはそろわない。浜井教諭は「実は、全力で走ってゴールがそろうのは奇跡なんです。でも、5年生のみんなはできるはずです」と、児童たちのやる気を刺激した。

 ◆40年前に考案の「8秒間走」

 8秒間走は、鳴門教育大の山本貞美名誉教授(67)が、熊本県で高校教師をしていた1964年に考案した。普通に50メートル走でタイムを計ると、高校生たちは途中で力を抜いてしまう。「速い走者に大差を付けられる遅い生徒は特にそうだった」

 そこで、一斉にスタートして8秒間でどこまでたどり着けるかを競う方式にした。高校生には好評だったが、次に勤務した広島大付属小では、到達点の判定を巡って子供がけんかをした。それならと、スタートをずらしてゴールをそろえるアイデアが生まれた。

 「ゴールを通過したかどうかの判定にしたら、ずっと簡単になった」と山本教授は話す。

 8秒間走は、研究熱心な体育教師の間に広まった。

 埼玉県鴻巣市鴻巣南小では、上岡勝教諭(36)がゲーム的な練習フィールドを作って、8秒間走の成果を上げている。

 高さ20センチ程のミニハードルをいくつも越える「もも上げ走」や、ケンケンパで使う丸型ビニールテープに合わせて小またで足の回転を上げる「ピッチ走」、逆にできるだけ大またで走る「ストライド走」などのフィールドを作り、児童は思い思いに練習する。仕上げに8秒間走をするが、児童らの距離はどんどん伸びていく。

 抜群に速い清水昭文君(12)は、はるか後ろからのスタートだが、「抜かせないかなと思う子を抜かすと面白い」と笑顔を見せた。

 上岡教諭は「苦しい授業ほど、楽しませなければ」。上岡教諭が受け持った2003年度のクラスの50メートル走は、男女32人で平均0・41秒タイムを上げた。04年度のクラスは平均0・71秒短縮。みんな短距離走が好きになるという。

 また、8秒でなかなかゴールできない子のために、“教育的配慮”をする指導例もある。熊本県大津町立室小学校の佐藤政臣教諭(40)は、手にしたストップウオッチで、ひそかに8秒2まで延長して達成感を味わわせる。緊張してフォームの乱れる子には体の力を抜くリラックス走を教えて、距離を伸ばしている。

(2005年11月7日 読売新聞)

なんか不快な記事だなあと思ってメモ。
体育という教科がげんに存在する以上、先生が教授法をくふうするのは重要なことだしいいことやとおもうけれど、
でもですねえ、べつに50メートル走なんか、「みんな好きになる」必要はないわけだし、じっさい私なんか、体育できなかったし嫌いだったので、こんなんされたらよけい大嫌いになっただろう。「みんな短距離走が好きになるという」なんていうのは、それは教師が教師目線で勝手にそう言ってるだけで、いやなもんはいやなんである。
国語や算数のドリルでおんなじようなことをやったら、こんなに能天気な記事にはならないんじゃないか。点数の低い子どもの問題数をどんどん減らしていって、できるやつは問題数を増やしていって、6人一組かなんかでテストをやって、採点結果はその場でみんなの前にさらしものにする、んで、正答率8割で合格、不合格ならまた問題を減らしたり低学年の問題にしたり、で、6人全員が同点で合格するまでやる、みたいな。
やでしょう?
まぁ、じっさいには、似たような工夫はおおかれすくなかれするのだろうし、まぁ、子どもだって、「みんな」かどうかはともかく、「普通の子」はけっこうそういうのはゲーム感覚でよろこんじゃうと思うんで、まぁ、やるんやろうけど、
でも、いくら「学力低下」だなんだというご時世でも、国語や算数でそういうことをやるとしたら、「ちょっと待って?」という印象は出てくるんじゃないかとおもう。えーと、たぶん、出てくると思う。