市民の25%『少年は重く』殺人事件の量刑判断

http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20060316/mng_____sya_____006.shtml

 「殺人事件の被告が少年ならば、成人よりも刑を重くすべきだ」と考える市民は四人に一人−。最高裁司法研修所は十五日、市民と裁判官を対象に実施した量刑(刑の重さ)の意識に関するアンケート結果を発表、両者に大きな開きがあることが分かった。

 今回の調査は、二〇〇九年春までに裁判員制度が導入されるのを前に、裁判官と一緒に事件を審理する市民の感覚を探るのが狙い。全国の二十代以上の市民千人と裁判官七百六十六人から書面で回答を得た。

 殺人事件について三十九の量刑ポイントで意見を聞いたところ「被告人が少年」「飲酒のため判断力が低下している」「被害者が配偶者」の三つで、量刑判断に大きな差が出た。

 少年事件の場合、「重くする」と「やや重くする」と答えた市民は25・4%だったが、裁判官はゼロで、「軽くする」と「やや軽くする」が90・7%だった。裁判官よりも市民の方が少年事件に厳罰を求める傾向にあることがうかがえた。

 犯行時、飲酒により判断力が低下していた場合、市民の36・5%が「重くする」「やや重くする」と答えたが、その二つに回答した裁判官は3・7%にとどまった。飲酒の上での犯罪に市民が厳しい見方をしていた。

 殺人の被害者が配偶者の場合について「重くする」と「やや重くする」と答えた市民が36・5%だったのに対し、裁判官は6・4%だけだった。

 研修所は「三つのケースとも市民、あるいは裁判官の約半数が『どちらでもない』と回答したことから、結果をさらに分析する必要がある」としている。

 今後、現役の裁判官を含む研究員が分析を進め、市民と裁判官がともに審理しやすい環境づくりに生かすという。

<メモ>裁判員制度

 選挙人名簿から選ばれた20歳以上の市民が裁判員として、裁判官と一緒に殺人など重大事件の刑事裁判の一審審理に参加する。2009年5月までに導入され、原則として裁判官3人、裁判員6人が多数決で有罪、無罪を決め量刑も判断するが、多数意見に裁判官、裁判員双方が1人以上含まれていることが必要。最高裁は評議の際に裁判員に量刑判断の参考にしてもらうため、過去の裁判での類似事件の量刑などが分かる量刑検索システムの改良準備を進めている。

産経だと
http://www.sankei.co.jp/news/060315/sha068.htm

少年による殺人 市民25%が「成人より重い刑に」

 殺人事件の被告が少年だった場合、市民の4人に1人が「成人よりも刑を重くするべきだ」と考えている―。最高裁司法研修所は15日、市民と裁判官を対象に実施した量刑意識に関するアンケート結果を発表、判断のポイントによっては両者に大きな隔たりがあることが明らかになった。

 調査は2009年春までに導入される裁判員制度に向け、量刑の「市民感覚」を探るため実施。全国8都市の市民1000人と刑事裁判官766人が対象となった。

 殺人事件を素材とし、39の量刑ポイントについて意見を聞いたところ、多くは傾向が一致したが、はっきり分かれたのは少年事件。裁判官は「成人より刑を軽くする」が90%を超え「重く」はゼロだったが、市民は約半数が「どちらでもない」を、25.4%もの人が「重く」を選択した。将来の更生のため刑を軽くするなどの配慮がある少年法を前提とした「裁判官の常識」が通用しないことが浮き彫りになった。

 最高裁刑事局は「少年の厳罰化を求める世論が強いことと関係があるのかどうかは、もう少し分析が必要」としている。

 このほか、犯行時に飲酒していたケースについて、市民の17.9%が「刑を重くすべきだ」と考えるのに対し、そう考える裁判官は0.8%。逆に裁判官は、判断力の低下を刑の軽減理由と考えるためか、32.1%が「軽くすべきだ」としている(市民は6.1%)。

 被害者が配偶者だった場合「重く」する人は裁判官6.4%に対し市民が36.5%。「親族の殺人」に向ける市民の目が厳しいことが分かった。

 量刑の判断は、各地で実施中の裁判員模擬裁判でも難しさを指摘されている。今回アンケートに答えた市民の82.7%は「参考に類似事件の判決例が必要」と回答しており、最高裁は今後、実際の裁判員裁判でどのような資料を提供していくかを検討する。
(03/15 17:49)

中国新聞だと
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200603150128.html

「少年は重い刑に」25% 市民意識を調査 '06/3/15
 殺人事件の被告が少年だった場合、市民の四人に一人が「成人よりも刑を重くするべきだ」と考えている−。最高裁司法研修所は十五日、市民と裁判官を対象に実施した量刑意識に関するアンケート結果を発表、判断のポイントによっては両者に大きな隔たりがあることが明らかになった。

 調査は二○○九年春までに導入される裁判員制度に向け、量刑の「市民感覚」を探るため実施。全国八都市の市民千人と刑事裁判官七百六十六人が対象となった。

 殺人事件を素材とし、三十九の量刑ポイントについて意見を聞いたところ、多くは傾向が一致したが、はっきり分かれたのは少年事件。裁判官は「成人より刑を軽くする」が90%を超え「重く」はゼロだったが、市民は約半数が「どちらでもない」を、25・4%もの人が「重く」を選択した。将来の更生のため刑を軽くするなどの配慮がある少年法を前提とした「裁判官の常識」が通用しないことが浮き彫りになった。

 最高裁刑事局は「少年の厳罰化を求める世論が強いことと関係があるのかどうかは、もう少し分析が必要」としている。

 このほか、犯行時に飲酒していたケースについて、市民の17・9%が「刑を重くすべきだ」と考えるのに対し、そう考える裁判官は0・8%。逆に裁判官は、判断力の低下を刑の軽減理由と考えるためか、32・1%が「軽くすべきだ」としている(市民は6・1%)。

 被害者が配偶者だった場合「重く」する人は裁判官6・4%に対し市民が36・5%。「親族の殺人」に向ける市民の目が厳しいことが分かった。

 量刑の判断は、各地で実施中の裁判員模擬裁判でも難しさを指摘されている。今回アンケートに答えた市民の82・7%は「参考に類似事件の判決例が必要」と回答しており、最高裁は今後、実際の裁判員裁判でどのような資料を提供していくかを検討する。

日経だと
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20060315AT1G1502Z15032006.html

殺人罪、市民の6割が「判決重く」・裁判官の意識と差
 刑事裁判の判決はもっと重くてもよい――。殺人罪に問われた被告に対し、裁判官が考えるよりも重い刑がふさわしいとする一般市民が、事例によっては6割以上に上ることが、最高裁司法研修所が15日発表した意識調査結果で分かった。被告が少年の場合「成人よりも重くすべき」など、裁判官の“常識”とは逆の感覚を持つ人が多いことも明らかになった。

 最高裁の調査は初めてで、一般市民が審理に参加する裁判員制度では、こうした意識差をどう埋めるかが課題になりそうだ。

 調査は、10ケースの殺人事件について、適当と思う量刑を「懲役3年以下、執行猶予付き」から「死刑」までの10段階のうちから選択してもらう方法で、全国8都市の一般市民1000人と刑事裁判担当の裁判官約770人に尋ねた。

 「傷害罪で服役、出所した男が、借金の取り立てに来た知人を刺殺」とのケースでは、裁判官の46.3%が「懲役10年から12年6月」としたのに対し、市民の63.0%はより重い刑を選択。最多は「無期懲役」18.9%で、「死刑」も7.3%あった。 (23:12)

読売新聞だと
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060315it14.htm?from=top

量刑意識、国民にばらつき…最高裁が調査
 2009年に実施される裁判員制度に向け、最高裁司法研修所は15日、刑事裁判の量刑に関する国民と裁判官の意識を比較した調査結果を公表した。

 殺人事件の量刑について、国民の意見が死刑から執行猶予付きの懲役刑まで大きなばらつきがあったのに対し、裁判官は互いに似通った意見を示すなど、両者の違いが鮮明になった。最高裁は制度開始に当たり、裁判官に調査結果を重要な参考資料としてもらう方針だ。

 調査は、前田雅英首都大学東京教授(刑事法)と現役の刑事裁判官が中心となり、昨年8〜9月にアンケート形式で行った。対象は、東京、大阪、仙台など全国8都市で無作為抽出した国民1000人と、刑事裁判を担当する地裁・高裁の全裁判官766人。

 調査では、金銭トラブルや心中、暴力団抗争など、10種類の殺人事件のシナリオを用意。それぞれふさわしい量刑を、死刑から執行猶予まで10段階の選択肢で聞いた。その結果、国民は全事件で回答が分散。一方、裁判官は、それぞれの事件で狭い範囲に8〜9割の回答が集中していた。

 また、犯行の計画性や前科など事件の性質を示す複数の要素について、量刑を重くする事情なのか、軽くする事情なのかを聞いたところ、〈1〉被告が少年〈2〉飲酒で判断力が低下〈3〉被害者が配偶者――の3要素では、「重くする」とした国民が目立ったのに対し、裁判官は「軽くする」との回答が多かった。少年事件や家庭内の事件について、重罰を求める国民の意識が浮かび上がった。

(2006年3月15日22時35分 読売新聞)

読売は「国民」っつってる。「市民」って言った場合とニュアンスが違うような気はする。
文章中に出てくる「世論」っていう言い方がいちばん合ってるような気はしなくはない。