自殺予防教育を本格化 文科省、月内にも研究会

http://benesse.jp/news/asahicom/TKY200608020484.html

06.08.03 06:06
自殺予防教育を本格化 文科省、月内にも研究会
 年間の自殺者が98年から8年連続で3万人を超えるなか、文部科学省は、児童・生徒の自殺を防ぐため、専門家による研究会を今月中にも設置することを決めた。今年度末をめどに課題と対策などをまとめ、学校での取り組みに生かす考えだ。これまで公立校に限って実施してきた自殺実態調査も、07年度からは私立、国立も対象に含める方針だ。
 自殺対策を国や自治体の責務と規定した「自殺対策基本法」が6月に成立したこともあり、本格的に取り組む必要があると文科省が判断した。
 研究会は、自殺問題を研究している精神科や臨床心理などの専門家や、中学、高校の教諭、学校カウンセラーら15人前後でつくる。小中高校生の自殺の特徴や傾向、自殺の予兆と思われるような行動などを分析し、教職員が見逃さずに対処するにはどうしたらいいかという調査・研究に取り組む見通し。
 さらに、生徒・児童に対する自殺防止教育や、家庭との連携も検討課題にする予定だ。
 文科省によると、04年度の公立の小中高校生の自殺者は計125人。一方、年度ではなく、暦年でまとめている警察庁の調査では、小中高校生の自殺者は04年、計284人にのぼる。文科省は約30年前から、児童・生徒の問題行動や生徒指導上の問題を把握する調査の一環として、自殺者数とその原因を調べてきたが、基本法の成立を受けて、より詳細な実態把握に乗り出すことにした。
 文科省は「これまで自殺に焦点を絞った教育はしてこなかった。研究会での成果を学校現場に伝え、児童・生徒の自殺防止に役立てたい」と話している。
 「青少年の自殺予防対策」について調べたことがある大分県立看護科学大の影山隆之教授(精神保健学)によると、一部の県を除き、学校で「自殺予防」の教育に取り組んでいる例は極めて少ないという。