真夏に部屋で聴く音楽って何だろう。ジューン・クリスティ『Something Cool』。あとポール・ブレイ。

夏は炎天下で夏フェスでしょう、みたいな気分かと思えばさにあらず、なにしろ部屋にいる限りクーラーをかけている。
考えてみれば、涼しい・ないしひんやりした場所で音楽を落ち着いて聴く、というシチュエーションは、夏なんである。音楽をゆっくり聴くのは室内であるわけで、だとすると、冬は部屋の中には暖房をかけるので、暖かい。絶対値で言えば暖房をかけた冬の室内より冷房をかけた夏の室内の方が温度は高いのだろうけど(自室のクーラーの設定温度は28〜30度にしてある)、でも、やはり冬は窓の外にしんしんと雪が降り積もるなか暖かい部屋で音楽を聴くのであって、ぎゃくに、夏は戸外の炎天をよそめにクーラーでカキンカキンに涼しくして(まぁ30度ですが私には涼しい)、ひんやりしながら聴くわけである。
というわけで、真夏に部屋で聴くとなると、グラスの氷がカチンカチンとぶつかるようなクールな音楽ってことになる。そうすると、なかなかそれはそれでおもいつかない。
で、さしあたりおもいついたのが、ジューン・クリスティ『Something Cool』。

Something Cool

Something Cool

これ、ジャケットと、あと、タイトル曲でミュートをつけたトランペットセクションの、チュワーーン、という音が、クール。
ただまぁ、なにしろビッグバンド+ハスキーなヴォーカルで、基本的には厚みがある音なので、とくに本でも読みながらというと、不向きではある。
で、結局、いつもながらのポール・ブレイ。これはなかなかよかった。
Improvise (Reis) (Dig)

Improvise (Reis) (Dig)

ポール・ブレイが怪しげなシンセサイザー電子音楽めいたことをやり、不倫愛人(だったっけ)のアーネット・ピーコックがピアノと怪しげなヴォーカルを聴かせるのだけれど、その背後でハン・ベニンクが叩くパーカッションが、よくて、フリー演奏の後ろででしゃばらずに薄くタイムキープしたりしているのが涼しげでいい。