『中上健次論』『負け組の哲学』と『文学界』の黒沢特集。

中上健次論―愛しさについて

中上健次論―愛しさについて

「負け組」の哲学

「負け組」の哲学

また電車に乗って学生時代に過ごした界隈に。こんどは別の通りの別の駅で降りて別のルートを歩いた。これは本気で10年ぶりなんではという感じのところも。学生時代の下宿は、オサレ街路とオサレ街路の交点のあたりだったのだけれど、その一方は今でもオサレ街路だった。まさにそこにあって欲しいようなオサレ書店が5年前ぐらいにできていたのだけれど、それがきれいに繁盛していてよかった。でも、学生時代に愛用した小さな書店は空き店舗になっていた。つい最近つぶれたのかもしれない。ともあれ、どんどん歩き、学生時代の下宿の近所に10年前にできていたきれいな書店は、5年前ぐらいはまだなんとか生きていたとおもったのだけれど、100均になっていて、しかし同じ頃にできていた小さなCDショップは、かなり演歌よりになっていたふうだけれど生き残っているのを確認、バブル時代に建てられたであろうオサレ建築の中に量販店が巣食ったりしてこっちの街路はずいぶん寂れてしまっているのだけれどそれはしかたのないことなんである。で、また別の街路に折れ曲がってずんずんと歩く。ここはほんとに10年ぶりなんじゃなかろうかというかんじ。ビルや店に見覚えがあったりして感慨が深い。でもって、今住んでいるところよりずっと馴染むんである。帰宅するための駅に近づいたときに、昔かよった古本屋がまだ生きているのを発見する。10年まえでさえもうダメだろうとおもっていたのだけれど、うれしくなって物色してみたら、新しい本が入っている一角があって、なんか、切り株から少しだけ若木が生えているのを見るようである。でもって、渡部直己中上健次論』を購入。もう少し歩いて、駅を発見してから、駅の上に建っている書店(ここもよくかよった)で、小泉『負け組の哲学』と、探していた『文学界』黒沢清特集を購入。地下鉄に乗って、蓮實×黒沢の対談を読んでいるうちに下宿最寄駅にあっけなく到着。