「日本教育学会歴代会長「教育基本法改正継続審議に向けての見解と要望」に“勝手に賛同する”みんなの署名運動」、というのを見つつ、教育学研究の専門性って何だろう?と、ハタと考える。

日本教育学会歴代会長「教育基本法改正継続審議に向けての見解と要望」に対する教育学研究者賛同署名のお願い」というのは、きのうここで紹介した(http://d.hatena.ne.jp/k-i-t/20061008#p3)のだけれど、
じつは、
教育基本法「改正」情報センター」というサイト(http://www.stop-ner.jp/index.html)で、
日本教育学会歴代会長「教育基本法改正継続審議に向けての見解と要望」に“勝手に賛同する”みんなの署名運動」
http://www.stop-ner.jp/061015shomei.pdf
というのをやっておられる。

日本教育学会歴代会長「教育基本法改正継続審議に向けての見解と要望」(本文はここをクリック。)への教育学研究者の賛同署名が始まりました。
先日、この内容を見て、「私もこの署名に賛同したい!署名をしたい!」との若者の発言に、集会で出くわしました(若者が作成した「『見解と要望』のわかりやすい解説」はここをクリックすると見ることができます。)。
しかし、残念なことに、この賛同署名に参加できるのは、「教育学研究者」に限定されてしまっています…。
そこで、教育基本法「改正」情報センターは、若者有志と一緒に「見解と要望」に“勝手に賛同する”みんなの署名運動を開始することにしました!
教基法「改正」に向けての政治的力は、安倍新政権誕生により一段と強まっています。市民と専門家、実践家と研究者、大人と若者とをつなぐ運動を実現しなければ、「改正」案を廃案に追い込むことはできません。

ふむ。
さしあたり、署名なんて集まったもん勝ちなのだし、戦術上、この署名運動も成功すればそれに越したことはない、のだと思う。
教育学研究者ではない方で”勝手に賛同する”意見を反映させたいという方がいらしたら、ぜひ。
でもそれはそれとして、ハタと考えてしまった。
教育学研究者が、教育学研究者による声明と賛同署名、をおこなっているってことは、そこには「教育学研究の専門性」が懸かっているのだ、と理解できると思う。
「見解と要望」の文章を読んでみても、

それとともに私どもは、広く父母・市民・教師・学生等々に対しても、教育学専門家がどのように考えているかについて理解を得ることができればと願っている。

と書いてあって、
言い換えれば、

「広く父母・市民・教師・学生等々」といった人々が教育専門家の研究を理解していない、もっと理解してくれ。
専門家の研究が理解されてないから、そもそも、こんな「教育基本法「改正」」みたいなおかしな話が出てくるのやないか。

と言いたいのだと理解している。
じっさいのはなし、まぁ署名運動に参加しようという人たちはともかくとして、「民意」の総体が政権与党を支持しているのは事実なわけである。「広く父母・市民・教師・学生等々」といった人々に、世論形成にせよ投票にせよ頼むからもうちっと勉強してからにしてくれ、といわんばかりであり、またそのために、専門家の言うことに耳を貸せ、ということを、この声明は言っているように見える。あるいは、本人にそのつもりがなくても、理屈の上で、そういう立場にたつことになるんじゃないかな、と思う。

たとえば、
仮に、脳外科の手術のやりかたを法律化しよう、国会で決めよう、ということになったとする。
医者ではないけれど『ブラックジャック』ぐらいは読んだことのある首相かなんかが、「有識者」を集めて審議会を開いて答申を出させたりして、手術はこうやってこうするみたいなマニュアルを法案として可決させようとする。
そうすると当然、脳外科学会は「あほかー」と言うだろう。
そうすると、どういう声明を出すかというと、「専門家のやることは専門家に任せろ」ということになるだろう。
そのときに、たとえばその声明に「市民」が「勝手に賛同する」とすれば、その内容は、「専門家に任せましょう」になるはずだ。

教育学研究の専門性、というテーマ自体が、学問論といういみで教育学的研究の対象でもあるので、ややこしいのだけれど、
また、
きのうも触れたように、教育という領域における(教育学研究者の、また教育者の)「専門性」というのはどういうものか、たとえば医学の「専門性」と比べることができるのか、見た目、いかにもできなそうなんだけれど・・・もしできるというのであれば、どういうふうにそれを打ち出すことができるか、きわめてこころもとないのだけれど。

んだけど、それはそれとして、戦術的にはさしあたり当面の目的に沿って共闘するのは当然のことであるので、
まぁ、署名されたいという方、10月15日午後9時が第一次集約だということですよ。
署名画面はこちら(http://www.fleic.dyndns.org/cgi-bin/gakkaisando.cgi)。
とりあえず署名ボタンをクリック、んで、これを機会に専門性って何だろうと考える、ぐらいの湯加減が吉、ではないかな、と。