岸田今日子の追悼のために山下洋輔を。

岸田今日子といえば、吉行和子冨士真奈美と3人で、山下洋輔の「追っかけ」をやっていた、というのが一番の印象で、だから今日は山下洋輔を聴いてみたわけである。
さしあたり、以前BSでやっていた、山下洋輔綾戸智絵のライブ、というのをちょっと見直して、

LIVE!*III~DVD Video Edition

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綾戸が邪魔であるな、という感想をもちつつ、テレビ番組的に演奏のあいまに挿入されている2001年春当時の岸田+吉行+冨士が、「うらやましいわねえ」「嫉妬しちゃうわ」「あら私は嫉妬なんかしない」とか言い合っているところを見直す。
NHK的にはMCの清水ミチコに「スキャットの女王vsフリージャズ」、などと言わせたりしていたし、当時綾戸を「ほぼ日」で押していた糸井重里なんかが番組ゲストになっていたりして、なんとなくそのへんを押し出そうとしているかんじだったけれど、もちろん綾戸にまともなアドリブスキャットなんかできるわけなかったわけで、また、「オレオ」や「スウィート・ジョージア・ブラウン」などというバップ・チューンを選曲した山下洋輔は、フリージャズではなくて、正しいビバップのアドリブをしていたようにみえるのだけれど。
で、
名演!JAZZ PIANO―BEST SELECTION by JAZZ SPOT OWNERS

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この本を引っ張り出して、山下洋輔の魅力を語る冨士真奈美のインタビューを読み、3人が山下に出会ったパーティーの話とか、3人で山下と並んで写っている写真とかを見直したりする。「ボレロ」を弾いていた山下に夢中になった、ということなので、ほんとうは
センチメンタル

センチメンタル

ラプソディ・イン・ブルー

ラプソディ・イン・ブルー

このあたりを聴くべきなのだろうけれど、ざんねんしょう、持っていない。
で、新しいほうの山下といえば
クレッシェンド

クレッシェンド

は一曲目「オータム・チェンジズ」が一時期FMでやたらかかっていて好きだったのだが、この90年代のトリオの名盤をじつは持っていなくて、かわりに、
おやつ

おやつ

でゲストで一曲デュオをやっている「クレオパトラの夢」 − は「オータム・チェンジズ」のもとうたのひとつなので − を聴き、それから
プレイズ・ガーシュウィン

プレイズ・ガーシュウィン

を持っていたので、これを久々にはんぶん聴き直して、それから、
山下洋輔ブルーノート研究を批判している
楕円とガイコツ

楕円とガイコツ

をぱらぱらと読み返しつつ、
これはタキシード着用でない、カミカゼ・フリージャズの猛者としての山下を
キアズマ

キアズマ

で聴いた。
これで岸田今日子もうかばれたであろう。ごめいふくを。