新春お好み囲碁対局は予想外によかった。稲葉サンの独演会だった。

昼から新春お好み囲碁対局、今年はあんまし期待してなかったのだけれど、見てみたらよかった。

http://www.nhk.or.jp/goshogi/special/index.html
「新春お好み囲碁対局 昨日の敵は今日の友 〜 お正月!おじさんもがんばるぞ!!〜」
普段は碁敵のきたろうさん(コメディアン)と喜多川拓郎さん(声優)が、今回はタッグを組んで相談しながら稲葉禄子アマ六段に挑みます。囲碁ファンの方もそうでない方も、存分にお楽しみいただけるお好み対局です。

なにしろ、対局の稲葉サンが非常にやくまわりをわかっていた。もうトウが立っていてたぶん既婚者であるのにもかかわらずひざ上のスカートで「おじさん二人を手玉に取る小悪魔女子」の役回りを演じていたんである。これが無理があるかどうかというところが論点なのだけれど、結論から言えば、こういうのは年齢の問題ではなくて資質の問題なので、やはり稲葉サンは十分にこなしていたようである。まぁ、ふりまわされる役にきたろう&喜多川某を配して、聞き手&助け舟係が青葉ちゃん、解説が小林覚という全体の配役がよかったというのもある。これ、青葉ちゃんと稲葉サンの役割を交代したらうまく行かないんであって、青葉ちゃんには(実際はどうか知らないけれど画面上は)小悪魔役は無理で、まぁ、助け舟を出す純心女子役が合っている。小悪魔女子役というのは、ちょっとした表情とか、クスッと笑ってみせたりチラッと相手の顔を覗き込んでみせたり、かと思うと真剣な表情で額に手を当てて考え込んでみたり、困ってためいきをついてみたり、自分が勝ちを確信したらニッコリ笑って「危ないかも!」みたいに言ってみたり、対局中に相手にヒントをささやいてみたり、ウソをささやいてみたり、そういう真似を自然にやってのけないといけないわけで、しかも全体的にちょいSな性格をチラチラさせていなくてはできないんである。これはやはり資質の問題であって、青葉ちゃんには無理だし、現在のNHK杯聞き手の中島サンにも無理だし、万波かなちゃんにも無理だし、梅沢ゆかりんは性格的にはたぶんプチSだろうけれどやはり真面目女子役のほうが合っていると思う。やはり稲葉サンのはまり役ではあるのだ。稲葉さんが小悪魔女子っぷりを全開にしていると、きたろうが大げさに調子に乗ってみせたり大げさに嘆いてみせたり、手玉に取られる中年男振りをこれまた演じ、友人の喜多川某というのがこれまた、真面目そうで寡黙ながらじつは影で振り回されているもうひとりの実直な中年男という役回りにすっぽりとはまり、まぁふたりの中年男たちは純真青葉ちゃんの応援もあって意外にも健闘するのだけれど、青葉ちゃんが油断している一瞬の隙のあいだに、まんまと稲葉サンに出し抜かれて、やっぱり結局、負けてしまうのだった。それを解説している小林覚というのが、一見紳士風でじつは悪い人なので、こういう人が立会人をやっている時点で、番組全体がどうしたってSの色彩になっていくんである。で、まァ結局、楽しかった。きたろうの嘆き節は冴えていて、記録・秒読みの安藤くんに「そんなに人をいじめる仕事をやってたのしいのかよ」とか八つ当たりして、読み上げの巻幡さんも安藤くんも笑いをこらえるのに必死になりながらだった。