「<埼玉県>コンビニなどに深夜営業の自粛要請へ」/「「コンビニ深夜営業はいらない」 朝日新聞調査に業界反発」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080616-00000119-mai-soci

<埼玉県>コンビニなどに深夜営業の自粛要請へ
6月16日21時24分配信 毎日新聞
 埼玉県は、二酸化炭素(CO2)排出削減のため、コンビニエンスストアやスーパーなどに深夜営業の自粛を要請する方針を固めた。年度内にまとめる地球温暖化対策地域推進計画(改訂版)に盛り込む。県によると、同様の自粛要請は「都道府県では例がない」という。
 県によると、農村部にあるコンビニのフランチャイズ店で客が来ないのに本社の指示で店を開けているケースが多い。県は「CO2削減の効果は大きくないが、夜型ライフスタイルを変革する象徴的な位置づけになる。何らかの形で自粛を要請する」としている。
 県が設置している有識者による地球温暖化対策地域推進計画に関する専門委員会では、委員から、深夜営業自粛の義務化を求める声が出ている。だが、「消灯しても冷蔵庫が稼働していては効果が薄い」「深夜営業は雇用の受け皿になっている」など慎重論もある。
 県は、要請対象を不採算店に絞るかや、閉店せずに照明を暗くしてもらうだけにするかなど、具体的な要請内容を検討している。【和田憲二】
 埼玉県の方針に各社は「地域住民の合意があれば従う」(大手コンビニ関係者)との声がある一方、▽深夜の納品も多く、日中は物流コストがかかる(ローソン)▽「深夜営業のコンビニは交番代わり、防犯の役割もある」(セブン−イレブン・ジャパン)−−などの反発もある。

なんか、さいきんなんでもかんでも「CO2排出削減」を錦の御旗にするようになってやなかんじだなあ。

県は「CO2削減の効果は大きくないが、夜型ライフスタイルを変革する象徴的な位置づけになる。何らかの形で自粛を要請する」としている。

というあたり、りくつもなんもあったもんじゃない感じ。表向きは「CO2排出削減」とかいってるけど、「夜型ライフスタイルを変革」したいのが主目的なわけで、つまり、夜型ライフスタイルを送っている人たちが気に食わん、とおっしゃっているわけである。

で、関連ニュースというのをみてみたらこんなのが。

http://www.j-cast.com/2008/01/14015523.html
「コンビニ深夜営業はいらない」 朝日新聞調査に業界反発
2008/1/14
「コンビニ店などの深夜営業がなくてもOK」と回答した人が84%もいることが朝日新聞の調査でわかった。「地球温暖化を防ぐためなら○○のない世の中でもがまんできるか」という問いに対する結果なのだが、コンビニ各社はあまりの数字の大きさに、「深夜営業をやめたところで、CO2はほとんど削減できない」「調査のやり方に問題があるのではないか」などとアンケート結果に反発している。
コンビニ営業時間短縮で国民のライフスタイル変わる?
コンビニの深夜営業は必要か(写真はイメージ) このアンケートは「暮らしと地球環境」をテーマにした朝日新聞の「定期国民意識調査」。2008年1月7日付けで発表した。地球温暖化のために「がまんできる」と回答があったのは「自動販売機」の84%に次いで「コンビニ店などの深夜営業」が83%だった。日本フランチャイズチェーン協会(JFA)に加盟しているコンビニだけで07年12月現在で約4万2000店あり、そのうち94・4%が24時間営業店舗だ。朝日新聞はこの結果に、
「(コンビニの深夜営業の)浸透ぶりを考えると、地球環境に必要となれば手放すのも『あり』という答えの多さは注目に値する」
と書いている。このアンケートは、全国の有権者から選挙人名簿で3千人を選び07年11月17、18の両日に学生調査員が面接調査をした。有効回答は1千867人。
07年に環境省経産省は、CO2排出量削減を宣言した京都議定書の目標達成に向け、産業界に削減目標の上積みを求めている。その中で浮上してきたのがコンビニの営業時間短縮の議論だ。コンビニの深夜営業を自粛し16時間営業などに短縮すれば、店舗の節電だけでなく、国民のライフスタイルも変わるだろうという声は政府内にもある。このアンケート結果が事実だとすれば、一気にコンビニの時間短縮に進む可能性も出てきたのだ。
しかし、コンビニ各社はこのアンケート結果に首を傾げている。セブンイレブン広報はJ-CASTニュースに対し、
「深夜営業のニーズは年々高まっている」
と指摘する。多様化するライフスタイルへの対応を強化したり、深夜でもお金を引き出せるATMの設置、危険の際に駆け込める「セーフティーステーション」機能など24時間営業だからこそ利用者のメリットは大きいのだという。そして、
「深夜営業をやめたところで、CO2が削減できるかというと、そうでもないんです」
というのだ。
「あまりヒステリックに議論しないほうがいい」
JFAは07年11月30日の中央環境審議会と産業構造審議会の合同会合で、コンビニが深夜営業をやめた場合のCO2排出量について報告した。報告では、深夜営業をやめても冷蔵庫や冷凍庫は動かさねばならず、照明と空調でCO2排出量を4.66%削減できるものの、深夜時間帯を利用していた商品配送を昼間に集中させると、トラック台数が増え交通渋滞になり、納品時間も増加する。物流部門でCO2排出量が0・9%増えると推計した。さらに、24時間営業をやめた場合、売り上げが2割程度落ち、雇用も減るためメリットはない、というのだ。
コンビニが深夜営業をやめられない理由は他にもある。ローソンは3年前に24時間営業の見直しを考えたことがあった。人口の少ない地域の店舗や、オーナー店長の労働に頼らざるをえない店舗に関しては、深夜営業をやめたらどうか、という検討だった。ローソン広報はJ-CASTニュースの取材に対し、
「検討は引き続き行っていますが、コンビニは24時間開いているのが一般的。仮に当社の店舗が深夜営業をやめたとしても、利用者は隣のコンビニに行きますし、そうなると便利なイメージが薄れ、売り上げが下がり、店舗は立ち行かなくなります」
と打ち明けた。
流通業界に詳しい三菱総合研究所の高橋衛主任研究員は、今回のアンケートや、コンビニの深夜営業廃止について、
「あまりヒステリックに議論しないほうがいい」
J-CASTニュースに語った。深夜営業をやめたとしてもCO2の削減効果はどれほどかわからないし、
「大都市以外では深夜に利用する人は限られていて、その数は少なく、アンケートを取れば『いらない』と答える人が多いのは予想できます。ただし、遅くまで働いたサラリーマンや、学生さんにとって、まさに『開いててよかった』存在なわけで、そういう人達のニーズは非常に高いのです」
ということだった。

ということで、
これも、アンケートで結果がそう出ましたと言われたら一瞬、そうなのか、と思ってしまいそうだけれど、この記事の最後のところの三菱総研のひとのコメントが冷静で、
ようするにアンケートと言いつつ、深夜にコンビニを使わない多数の人が回答したらこうなった、というオチ。

地球温暖化を防ぐためなら○○のない世の中でもがまんできるか」という問いに対する結果

というのがこれだ、というので、そこに「コンビニの深夜営業」という選択肢がそもそもあるのも恣意的な気配はあるけれど、しかし、それにマルをつける、深夜にコンビニを使わない人たち、というのもねえ。「がまんできる」もなにも、自分に関係ないからなくてもかまわない、というねえ。
まぁ、わたくしも年をとってきてからそうなってきたし、深夜にコンビニなんか使わなくなってきたし、まぁついこのまえここに、コンビニがタスポ特需で儲けてタバコ屋さんが悲鳴を上げてるのはどうよ、とか、文句を書いていたってのもあるにせよ。でも、自分が深夜のコンビニに縁がないからといって「なくてもがまんできる」という言い方はなぁ。
もちろん、多数決だから多数派の意見を通せ、というりくつもあるかもしれないけれど、
でも、コンビニは深夜営業で採算が取れるからやってるわけで、つまりそれなりのニーズが、つまり一定の「深夜型ライフスタイル」の人たちがいてそれで現に成立しているわけで、それを、そのことを考えもしない多数派の人たちが、政治なり行政なりの力を経由して、抑圧しようというのは、いいきぶんのすることではないなあ。

「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ (文春新書)

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地球温暖化論への挑戦

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