通勤電車で読む斎藤『文学的商品学』おもしろかった。

で、今日の通勤電車で読んでた。

文学的商品学

文学的商品学

おもしろかったのは、切り口と整理の手際のよさのせいってのがひとつ。「青春小説」「風俗小説」はいいとして、「広告代理店式カタログ小説」「ホテル小説」「いかす!バンド文学」なんてのは、なるほどそういうジャンルがジャンルとしての形式をもってたのか、と思うし、「とばす!オートバイ文学」で「オートバイ文学の主役はみなナイスガイ&ナイスガールである」と言ってみたり、「人生劇場としての野球小説」で野球小説のサブジャンル「金網物」を指摘したり、ひざをポンとうつ指摘がたくさんあっておもしろい。
あと、扱う作品がほどほどに有名だったり見当がついたりして、この作家、この作品、はいはいはい、という安心的おもしろさがあって、読書傾向的にいって褒めるであろう本を褒め、おちょくるであろう本をおちょくっている。そのへんがまぁ、安心的おもしろさ。
まぁ、初出連載第一回の「風俗小説」で必殺・金井美恵子をさっさと最初に使ってしまったところはなかなか男気があってよかった(まぁ、第二回「カタログ小説」の冒頭のはなしの枕でも使ってるし、じつは変化球勝負・はずし・ずらしの技、というのの範例にもなっていて、これはこの本全編でも重要な視点になってもいるのだけれど)。
あと、「野球小説」の中に高橋源一郎優雅で感傷的な日本野球』を扱ってほしかった。
優雅で感傷的な日本野球 〔新装新版〕 (河出文庫)

優雅で感傷的な日本野球 〔新装新版〕 (河出文庫)

なぜかというと、この小説、どこがどう野球なのかさっぱりわからんから。