http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20090805-OYT8T00352.htm
新聞記事を話題に…成績アップ効果
親の所得が高いと子供の成績は良いが、低所得でも親の心がけ次第で学力向上につながる――。昨年度の全国学力テストの結果を、文部科学省の委託を受けたお茶の水女子大の耳塚寛明教授らが分析した結果、そんな傾向が出ていることが4日、明らかになった。全国学力テストの結果と親の所得の関連を追った調査は初めて。絵本の読み聞かせなども成績向上に効果があり、耳塚教授は「経済格差が招く学力格差を緩和するカギになる」と話している。
調査は、全国学力テストに参加した小6のうち、5政令市から100校、計約8000人を抽出し、親と教師を対象に学習環境などを調べた。
世帯収入と平均正答率(国語と算数)の関係を見ると、高所得ほど正答率も高い傾向がみられ、最も平均正答率が高かったのは、1200万円以上1500万円未満の世帯。200万円未満の世帯と比べると平均正答率に20ポイントの開きがあった。
親が心がけていることについて調べたところ、高学力層の子供の親は、「小さい頃から絵本の読み聞かせをした」「博物館や美術館に連れて行く」「ニュースや新聞記事について子供と話す」といった回答が多かった。このうち、「本の読み聞かせ」や「ニュースを話題にする」は、親の所得に関係なく学力向上に一定の効果がみられたという。
調査では、学校での取り組みも調べた。家庭環境にかかわらず、児童にあいさつを徹底したり、教員研修を積極的に行ったりしている20校では、学力向上に一定の効果がみられた。
(2009年8月5日 読売新聞)
耳塚先生の分析。の「読売版」解釈、なのかしらん。
まず、
親の所得が高いと子供の成績は良い
これは、調べればだいたい出てくる結果。で、とにかくいまは学生のレポートでも教育格差が、とかふつうに出てくるぐらい、よくもわるくも知れ渡った傾向が、やっぱり出ました、というところ。
ところが、記事は
が、低所得でも親の心がけ次第で学力向上につながる――。
というふうにして読者サービス的な文章にしている。
うーん、でも、この調査って、文化資本とかハビトゥスとかそういうことを調べてるのではないか。
高学力層の子供の親は、「小さい頃から絵本の読み聞かせをした」「博物館や美術館に連れて行く」「ニュースや新聞記事について子供と話す」といった回答が多かった。
こういうことを「心がける」ような親、というのは、そういうハビトゥスを持ってる、ということじゃないのか。そうすると、「親所得」に加えて、「親学歴」を見る、っていうのが定番なわけで、それが調査上の困難で調べられなかったのか、記事が無視したのかわからないけれど、ここで出てきてない。
このうち、「本の読み聞かせ」や「ニュースを話題にする」は、親の所得に関係なく学力向上に一定の効果がみられたという。
まず、ぎゃくにいうと「博物館や美術館に連れて行く」ことによる効果は、親の所得に関係している、というふうにも読めなくもないし、
「所得」に関係しなくても「親学歴」に関係するかもしれない。きょくたんなはなし、両親が「高学歴ワーキングプア」であるような子どもだったら、とか、まぁそこまでいかなくても、親が大卒かどうかとか、大きいんじゃないかなあと思う。
なので、高所得高学歴でなくても読売新聞ニュースの話題を喋っていれば子どもの成績向上、みたいな記事の文章は、ちょっとうそじゃないかなあと思う。
もちろん、読み聞かせにしろなんにしろ、心がけてやるのとやらないのとではやるほうがプラスだとは思うけれど。
あと、
調査では、学校での取り組みも調べた。家庭環境にかかわらず、児童にあいさつを徹底したり、教員研修を積極的に行ったりしている20校では、学力向上に一定の効果がみられた。
と書いているけれど、「児童にあいさつを徹底する」学校が効果を持つ理由と、「教員研修を積極的に行ったりしている」学校が効果を持つ理由とは、いっしょくたにできないかもしれない。