『ザ・マジックアワー』見た。良質の映画をめざした映画。よかったですよ。

テレビでやってたのを録画してたのを見た。三谷脚本ってことで、良質の映画をめざしたってかんじの映画。「古き良き時代のギャング映画」とか、「古き良き時代の無国籍アクション映画」とか、そのへんを参照しているのか、ということなのだけれど、そのへんを真剣に、映画史がどうこうみたいなことを言い始めると、ものたりないとか思いはじめることにもなるので、そういう見かたをする映画ではないという前提で。
それで、あまり難しいことを言わずに見ていると、やはりぐっとくるところとかちょっと目頭にくるところとかいうのはあって、部屋でひとりで泣きながら見るということになる。フィルムに残っていた自分の姿を偶然スクリーン上で見て涙ぐむ、というシーンはやはりよかったし、そのいかにも素人っぽい「映画内映画」の断片が、ちょっとこれで70分ぐらいのアクション映画になってたら何かの間違いで見てみたいかも、っていう、「古き良き時代の映画」には似ても似つかないけれど映画好きの高校生映画研究部とかが思い余って撮ってしまったような、画面の呼吸っぷりで、そこで銃を手に提げながらギャングの金庫番の病室をめざして階段を昇っていく男が自分だったら、こりゃスクリーンを見つめて涙がとまらないだろうと思った。
で、ま、それはそれとしてということなのだけれど、やはりよかったのは綾瀬はるかで、この人はこういう、純真でけなげで主人公の男をいっしょうけんめいに支えて、ドラマを動かすようなヒントを与えたり、時には驚くほどの度胸でもって行動したり、するのだけれど主人公の男にはいまいち振り向かれないような、でもとにかくけなげに主人公の男をまっすぐに見つめてるような、ま、そういうけなげな役というのがすごくはまるわけで、『鹿男あをによし』というわけのわからないテレビドラマでまさにそういう役をやっていて、とてもよかった。
それに較べてしまうと、深津っちゃんのほうは、ギャングの情婦の「悪女」っていうのはちょっとタイプではなかったわけで、まぁギャングのボスが西田敏行だってのでまぁあまりむつかしく考える必要が無いのはわかるけれど。