美空ひばりのスタンダード曲集。村上春樹はああ書いていたけれど・・・

学校帰りに商店街のCD店のカゴ売りで廉価版を購入。一枚は野口五郎で、もう一枚が美空ひばりのスタンダード曲集である。

美空ひばり ジャズ コレクション PBB-95

美空ひばり ジャズ コレクション PBB-95

コンプリートだとこっち↓のようだ。
LOVE! MISORA HIBARI JAZZ & STANDARD COMPLETE COLLECTION 1955-66

LOVE! MISORA HIBARI JAZZ & STANDARD COMPLETE COLLECTION 1955-66

村上春樹が、『意味がなければスイングはない』の文章の中で、話のついでのようにちらっと言及している。
意味がなければスイングはない (文春文庫)

意味がなければスイングはない (文春文庫)

いわく、あるときアメリカで友人の家でブラインドフォールドテストをやっていたら女性ボーカルの曲がかかって、誰かはわからなかったけれどスタンダードナンバーを自分のものにして唄っている、なかなかのものだと思って云々、みたいな。でまぁそのあと、でもしばらく聴いていると歌のあちこちで「隠れこぶし」みたいな歌謡曲的な節回しがあるのが気になってきてしまった、と。
そういう言われ方をすると、聴いてみたくなるわけだけれど、聴いてみたら、えー?そうですかあぁ?ってかんじ。
とりあえず冒頭のほんのワンフレーズだけで、声といい節回しといい、美空ひばり印ばっちりのような。ブラインドフォールドテストもへったくれも成立しないような気がするんですが。これほんとにわからなかったんですかあ?ほんとかなあ?話をかっこよく作ってませんかあ?ってかんじ。
声といい節回しといい、ジャズってより「柔」とかそういうかんじなのだけれど、曲によってついている日本語歌詞がまた味わい深くて、

窓に えがお
あー ロマンス列車よ ”A”TRAIN
甘い 夜風 ばら色の夢をのせ
汽車は出てゆく 二人のささやき
あー 恋の旅よ 思い出の汽車よ ”A”TRAIN
=== 
どうして あの人 大きなナイフ
持ってる 人なの ベルトにさげた
ナイフは 飾りか キラリと光る
ナイフは 私の 心を燃やす
===
恋はそよ風 きままな風よ
いつでも知らぬ間に 吹きすぎる
恋はそよ風 心のつぼみに
赤い花を咲かせて 逃げてゆく
恋は気まま者 きまぐれな風よ
いつの日か 愛の灯が消えた時には
涙こぼさず お別れしましょう
恋とは 恋とは そんなもの

みたいな、斜め上なかんじ。
お嬢の歌唱をモンドな珍品あつかいするのもアレなんですけど。