『闘うレヴィ=ストロース』。追悼ジャストのタイミングの本。よかった。

新書498闘うレヴィ=ストロース (平凡社新書)

新書498闘うレヴィ=ストロース (平凡社新書)

レヴィ=ストロースって、大学院生のときにわからんなりに何冊か読んで、やっぱりわからんなあといってそのままになっている。で、この本。書かれたときにはレヴィ=ストロースは100歳で存命、で、出たときにちょうど亡くなってしまって、ジャストのタイミングで追悼出版ということになった。若き日の社会主義青年時代から語り起こされていて、老境にいたったときのスピーチのことばで締められている。死がそう遠くないという自覚のなかでのなおクリアな語り口に、胸を衝かれる。じっさいはそれからさらに10年もながいきをして亡くなったのだけれど、ついこのあいだまさに語られたような。で、あとがきでさらっと描かれた、著者にプレゼントをくれたというエピソードも心温まりますね。誠実な社会主義青年だった顔、有能な実務家だった顔、気配りの人という顔、などなど。小さな猿のおなかをやさしく支える手の指の印象と、蚤の市で買ってきた骨董品の小さな文鎮の印象。