日本一のチラシはこうつくれ!―当たり前のことを書けば年商50億も夢じゃない!
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おもしろい。
栃木のローカルのカメラチェーン店「サトカメ」の専務だか何だかの人で、ようするに、カメラ屋さんのせがれ。町のカメラ屋さんだったのが、バブルに浮かされてロードサイドに店舗をつくり、さいしょ大すべりして、そこから「中小店の方法論」を現場たたき上げで研鑽してついに栃木でトップ店チェーンになった、という。で、いま、コンサル業と二足のわらじである、と。
その方法論として「チラシ」というのがあって、だから、チラシの本であってチラシの本でない。中小店が全国区の大手チェーンの大規模店に地域で勝つための理屈や方法論やマインドが書き連ねてあるわけで、その背骨になっているのが「チラシ」である、という。
たとえば、大手チェーンは地域シェアで無理やりトップを取りに来ない、なぜなら地域シェア17%(だっけ)程度を超えると非効率であるから、と。また、ある商品カテゴリの中でも売れ筋の数種類だけを置いて販促する、チラシにもそれだけ載せる、と。だからこそ、地域の中小店に十分に勝ち目があるのだ、と。大手チェーン店の店舗は広いけれど、カメラ売り場だけに関して言えば地域のカメラ店のほうが広いぞ、だから勝てるぞ、と。
たとえば、大手チェーンがチラシにビデオカメラの売れ筋5点を載せたなら、こちらは倍の10点載せなさい、と。つまり、「とにかくビデオカメラに関してはうちに来ればなんでもあります、うちはどこより詳しいです、勉強もできます」というふうにチラシでアピールせよ、と。得意商品をひとカテゴリ、ないし一つ、とにかく決めて、そこだけは死に物狂いで地域のトップシェアを取れ、と。そういうわけで、こういうチラシのコピー。
なるほど、チラシにそんなことが書いてあれば、ビデオカメラを買おうかな、と思っている人は、とりあえずサトカメに行きたくなるわな。
そうして、何かでトップを取れば、そこから客がついてくる、と。
そして、結局、地域で残るのはトップシェア店なのだ、と。
たしかに、カメラってのは斜陽産業で、デジカメの席巻で大波も食らったのだけれど、だからといって地域からカメラ店が消滅してしまうことはない、と。一店残る、それはトップシェアの店なのだ(大規模チェーンは、見切りをつけてしまえば撤退してしまう)、と。
心意気と方法論が絶妙にまざってておもしろい。
2冊あるうちでいうと、『チラシ』のほうが面白いと思う。2冊目は、サトカメじたいも十分に拡大した2005年時点で、中小店的な特攻精神ばかりではなくなってきてるし、妙なコンサルっぽさもでてきてる。さっき言ってたこととちゃうやん、みたいなこともみえる。なので、面白さでいうとデビュー作の『チラシ』のほうを。
ちなみに、サトカメ、まだがんばってるのかね、ネットで検索すると健闘中であるようだけれど。この本を読むと、応援したくはなるね。