ふと気が向いて、ひさびさに取り出して聴いた。まったくなんにも考えずに、ワンホーンのカルテットでちょっとぱっとしないかんじのスタンダード曲を気持ちよくドライブしていく。アドリブフレーズが気持ちよくするすると出てきていつまでも尽きることがない。豊かで太くてまろやか、しかもしっかりとギュッと芯が通っていてのびがいい、理想的なアルトサックスの音色で、しかもところどころの決め所で気持ちよくこぶしが回る、で、全体に暗いところがなくて明朗に快活に、なんのためらいも感じさせない。あんまり屈託というものがないのでそれはそれでものたりないというわけで、あんまり思い入れを持って聴かないけれど、ジャズを聴き始めのときには、ラジオで
エアチェックした「アイ・リメン
バー・ユー」がすごくよくて繰り返し聴いていたものなのである。