こないだ読んでた『活動家一丁あがり!』。いい本なのだがかっこよすぎ。

活動家一丁あがり!  社会にモノ言うはじめの一歩 (NHK出版新書)

活動家一丁あがり! 社会にモノ言うはじめの一歩 (NHK出版新書)

これは学生に薦めるつもりなく買った新書。なのだけれど、ほんとは読むといいと思う。べつにテロリストになれとかいう本ではない。
「アクティヴィスト」とかなんとか、そういう言い方にあえてしなくて正面突破で「活動家」なのだそうで、そりゃまあかっこいいけれど、そういうタイトルの本を学生に薦めるってのは世間体がよろしくない。こっちは客商売ですからね。
この本の最初のところで、社会問題に対して学者はなにやってんだみたいな問題提起があって、でもまぁ学者さんは最近いそがしくていらっしゃるらしい、教育と研究と雑務で、みたいなところでどうやらお許しをいただいてるようなのだけれど、それより、大学で働いてたら、宮仕えだったり客商売だったりするのでね、そりゃなかなかかっこよくはいかないですよ、っていうのが大きいと思う。
それと、これはこの本のいいところで正直に、「活動家の経済学」っていう章が設けてあって、要するに、食えてませんよ、と。「赤ヒモ」などという言葉を知ったけれど、そうなるとジェンダーがらみの構造ってのもあって、なかなかきびしいことになってる。もちろん、だから、きちんと食えるということを考えないで「社会にモノ言う」ってことに酔ってても続かない(か、別のやらしい構造に居直る)ことになるよ、ということなのでしょう。そのへんは、じつは、この本でも「NPOスタッフ」みたいなところまで含めて言ってるので、そうそう他人事でもないのだけれど、そういうちゃんとやってる人間が食えない仕組みを変えていかないといかんというのがある一方で、いま食えない現状があるのであれば、そこに何も考えずに学生を放り込むというのもできないよね、ってのもある。
ま、それも含め、かっこよすぎることが難点ではあるけれど、いい本。