- 作者: 坂口恭平
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2010/08/04
- メディア: 単行本
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ロビンソンによると、現在の東京の水道水は、ダムに溜められた汚い泥水だという。それを塩素で殺菌して飲めるようにしている。だから、その日の水の汚れに合わせて薬品の量が変化し、味も変わるのだそうだ。
「でも、雨水も同じように汚いんじゃないですか」と聞いてみたところ、ロビンソンの答えはこうだ。
「そりゃ、東京の空は汚いよ。埃、塵、化学物質、いろんなものが混ざっているからね。でもね、雨というのはすごいの。二時間もすれば、大気中に混ざっている不純物のほとんどを流してしまうわけですよ。だから、雨が降っても二時間は放っておいて、二時間以上たったら、バケツを持ってきて溜めるわけ。蒸留水にも負けないぐらい純粋な水だよ。もちろん万が一ってこともあるから、飲むときには沸騰させるけどね。だけど、この一五年間一度も腹を壊したことはないよ。しかもね、この水は純粋だから、二カ月置いておいても腐らないの。普通の水道水だったら腐っちゃうけどね」
とか、ちょっとわるくない。
うーん、しかしやはり路上生活者の生活というの、自分がやりたいか、魅力があるか、というと、あると感じなかった。amazonのコメントでもさんざん言われていて、この本の中でもちらちらと留保が書いてないわけではないように、この生活は、路上生活者支援団体や福祉制度や慈善事業の存在に大きく依存しているわけだし、いまの法律でいえば非合法的(「黙認」されている、という状態)ないし脱法的だったりするところでなりたっているわけで、それをひとつのライフスタイルとして提案するのはむつかしい、ってのもある。でも、ごく単純にいって、自分がこの生活をしたいですか、というと、やはりいらんなあ、という。
「モバイルハウス」っていうコンセプトはおもしろそうで、しかしそれが出てきた著者の考えというのはこの本にあるようなことで、それにまるごと共感するかというと微妙。
むしろ、貧乏つながりで『貧乏人の逆襲』(http://d.hatena.ne.jp/k-i-t/20081003#p1)のほうがやはり思想的に面白い気がするわけで、問題意識は似たようなことでもそれをどう理屈として形にするかみたいなところの違いか、とも思う。
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記事をアップして、例によってほかの人の感想文を見ていたら、なるほど、と思ったコメントが。
内沼晋太郎『本の未来をつくる仕事/仕事の未来をつくる本』、紹介してもらった本です。就活とかそういうつまらん枠組みでものを考えることがいかにばかげているか。オルタナティブを提示してくれる本です。その関連でいえば、坂口恭平『ゼロから始める都市型狩猟採集生活』もそんな感じだったな。家なくていいじゃん、金なくていいじゃん、という。目からウロコ。ただし、「社会」とか「家族」とかに参加できるかというと、それは疑問符がつくかな。もちろんそれがすべてじゃないんだけどね。あとは、ホームレス(都市型狩猟採集民)って、実際問題、女の子はなれません。というわけで、かなりホモソーシャル臭もする本でした。
2010-12-30 - これ以上のばかにならないために
いや、じっさいのホームレスで女性がいるかいないかとか、ホームレスと両立しない「女の子」というのは「就活とかそういうつまらん枠組み」と近いものがあるのではないか、みたいな団子理屈とか、あるかもしれないけれど、でもこの本のコメントとして「かなりホモソーシャル臭もする本でした。」っていうのは、なるほど!と思った。