『明日の教室』DVDシリーズ「ファシリテーション入門」「ファシリテーショングラフィック入門」見た。学生にも見せたいなあ。

http://sogogakushu.gr.jp/asunokyoshitsu/dvd_1.htm
「明日の教室」というのは、学校の先生たちのそういう名前の研究会があるということで、その学習会の様子がDVDシリーズで出ているということのよう。
で、以前、ファシリテーション関連の映像資料を探していた時に行き当たって、欲しい欲しいと思っていたのが、このたびようやく見れた。全巻、研究室に購入したので、楽しみに見れるわけだけれど、さしあたりは「ファシリテーション入門」「ファシリテーショングラフィック入門」の2巻を見た。
ファシリテーション入門」のほうは、たぶん研修講師のベテラン的な人だと思う。喋りも面白かったし、内容的にも面白かった。会議ファシリテーションの雰囲気がなんとなしにわかるかんじで、ファシリテーショングラフィックとか、ふりかえりにちょっとワールドカフェを使ってみせるところとか、非常にうまくいろいろ盛り込んでるなあと思った。
ファシリテーショングラフィック入門」のほうは、現職の若い小学校の先生で、研修的な上手さみたいのはやはりそれで飯を食ってる人ほどではなかったけど、ファシリテーショングラフィックに特化して2時間おもしろく間が持っていたわけなので、やはりおもしろかったんである。ただ、特に最後のパートでコーディネーターの先生との対談インタビュー形式をやったときに、コーディネーターの先生が、たぶんファシリテーショングラフィックのことをよく理解できてなかったんじゃないかと思うけれど、なんか単に楽しいからファシグラ、みたいなことばかり強調していたのはよろしくないなあと思ったし、講師の先生もそれにひっぱられてしまってたように見えるのが惜しかった。ファシリテーショングラフィックとはそもなんぞや、という定義がぐらついてて、なんか自分が一人でメモ書きをするのでも色ペンを使って絵で描けばファシグラ、みたいなことになってて、それはちゃうなあと思って見てた。ファシリテーションというのは、たぶん集団で活動するときにそれを促進するってことで、その仕掛けのひとつとしてファシグラがあり、議論やらなんやらが集団の目に「見える化」されて共有されることで活動を促進する、っていうのが第一義的な機能である、と理解している。そこんとこの定義がぐらついてしまうと、なにやってるかわかんなくなるわけで、たんなるお絵かきか、気の利いたお絵かきか、みたいな話に終始してしまうことになるやろう。たとえば、だからその対談インタビューを受講生有志がファシグラする、ということだったのだけれど、なんかそれは違うでしょうという感じになってたと思う。というのも、対談は会場の部屋の前のところでおこなっていて、受講生有志のファシグラは会場の後ろのほうの側面の壁に貼った模造紙で描いてたわけで、それじゃ対談者もオーディエンスもファシグラを見てないわけで、それはやはりファシグラとは言わないってことにしないと話が合わないと思う。げんに、対談はあんましファシリテートされてるかんじがしなかったし、インタビューする側のコーディネーターの先生の「まとめ」によって「ようするに楽しいのがファシグラ」みたいなことに誘導されてしまってた気がするし、受講生有志のファシグラについては結局、対談が全部終わってから、遠くから見て、「いやー上手ですねえ」みたいな感想で終わってたんで、それじゃ意味ないじゃんと思うんである。紙の上に何をどう描くかってことより、場の空間構造をどう組織してくか、その中心に活動(たとえば対談)を「見える化」するグラフィックを置いて、参与者が共有しながら参与できる、対談者はグラフィックを見ながら対談したり相手の言葉や話の流れを修正したりできるし、オーディエンスも話の文脈を見失わずに聞ける、等々、ということが本質なんやと思う。講師の人の実演っていうかワークショップっていうかライブファシグラのときには、ちゃんとそれができていたし、字幕解説でもそのポイントをきっちりピックアップしていてよかったんであるが。
ともあれ、とにかくこういうものは実際にやってるところを見るのがいいわけで、とても面白かった。