『無法松の一生』みた。二本立て未遂&淡島千景未遂。

淡島千景を偲ぼうと、フィルモグラフィーの中から自分の手元のつんどくビデオにあるものを探したら、『無法松の一生』というのがあった。で、これ、昔BSで、オリジナル版とリメイク版の二本立てをやっていたのを録画してたので、どっちかには、っていうかたぶん新しいほうに淡島千景が出ているだろうと思って見てみた。
で、一本目。

無法松の一生 [DVD]

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1943年、大映、バンツマが無法松である。監督が稲垣浩。で、恥ずかしながら無法松の一生というお話の内容を知らなかったので、どんなものかいなと見てけっこう面白かった。べつに無法松という人の伝記みたいな映画ではないですね。そらそうや。
なんとなく村田英雄先生の歌とかでイメージしていたような、乱暴っぽい人力車引きの人がいて、その人はしかしバカで乱暴だけど無欲で竹を割ったような性格であると。でそれがバンツマであると。これがひじょうにぐあいがいい。画面に「いい人」が映っていると、いいなあと思って見ることになる。と同時に、この映画けっこう前衛的というか、最初のシーンからいきなりキャメラが謎の動き(部屋の中から窓辺に動き、するとそこは二階なのでそのまま窓の下を見下ろすと通りには人が行き来してさわがしく、そのままキャメラがすうっと降りていって地上に、みたいなワンカット)を見せたり、画面の奥行きを深く使って向こうのほうでサイレント喜劇的なギャグをやってみせるとか、樹の影を幻想的に見せるとか、夢のような回想シーン(多重露光らしい)とか、そういう面白さもあった。で短いのがよかった。
なので満足しつつ、淡島千景はまぁ戦時中の作品にはさすがに出てないわけで、次のリメイク版を引き続き見はじめたわけである。
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そうすると、これが東宝で、監督がおなじ稲垣浩。キャストをみると無法松が世界のミフネである。で、なんと淡島千景がでてなくて高峰秀子、デコちゃんだと書いてある。で、あれれと思いながら見始めたら、脚本がほとんど同じで、ただカラーになってミフネになってただけで同じように話が進んでいくので、なんか最初のところだけ見てやめた。ミフネだと、バカで無欲っていうより椿三十郎みたいに見えて、これでもつだろうか?と思ったってのもある。
で、検索してみたら(無法松の一生 - Wikipedia)、映画だけでオリジナル+3回もリメイクされとるやないか。
淡島千景が出ているのは1963年の東映版、無法松は三國連太郎だと。うーむ?バカで無欲で乱暴者で竹を割ったような性格、というのが一つも合ってないような気がするけど・・・?
ちなみに1965年大映版、というのもあるらしくこれは無法松が勝新。ふむ。大尉の奥さんが有馬稲子。ほう。監督が三隅研次。ん?むしろ市川雷蔵主演にしちゃったらどうだろうか。いやまあ冗談。