『シュルレアリスム』読んだ。

シュルレアリスム―終わりなき革命 (中公新書)

シュルレアリスム―終わりなき革命 (中公新書)

これは学生に勧めないほうの新書。学校帰りに、商店街の本屋さんで、通勤電車用に購入。著者はバタイユ方面の人で、ブルトンバタイユを軸にしてシュルレアリスムについて、政治と芸術について(そのあたりの文脈でベンヤミンも登場)、論じている。うーん、もうちっとゴシップ的なおはなしが読めるかなあと思っていたら、そういう本でもなかった。この本を読んで、ブルトンシュルレアリスムにぐぐっとひきつけられたかというと、あんましそうはならなかった。昔、塚原本を読んでダダとシュルレアリスムのあたりの見取り図を思い描いて以来、自分的にはダダのほうにひきつけられるぞと。デュシャンもいるし、ベンヤミンもその文脈で、ダダのほうが面白そうだぞという気になっていて、それが塗り替えられたか、というと、そうでもなかったなぁ。
そうそう、最初のあたりの、第一次大戦下を若者として迎えた世代っていうか、戦場で「ひと山幾らの人間」として生きたっていうか生き残ってしまった世代としてのシュルレアリストってのは、わるくなかった。そうした死に直面した、っていうか生のかけがえのなさが失われてしまったなかで体験した異様な美、みたいのがあって、ある若者はそこから戦争賛美の極右に向かい、ある若者はシュルレアリストになり・・・みたいな話。