通勤電車で読む『フロイトとの日々』。

フロイトとの日々―教育分析の記録 (1972年)

フロイトとの日々―教育分析の記録 (1972年)

某日、学校帰りの商店街の古本屋で、カゴ売り105円で何冊か買ったうちの一冊。なにせ古本である。1972年とありますな。底本の原書が1971年だそう。だもので、じゃっかんの時代性を感じなくはない。アメリカの精神科医の人が、フロイトに教育分析を受けたときの、まあ日記的なもの。1929年に最初の分析をやり、1935,37、38年のそれぞれ夏に分析をやった、という。最初はウイーンで、最後はイギリスでフロイトの晩年ちかくの姿に接しているということにはなる。
で、この本の出版は、じつはその精神科医が亡くなってから、妻の手によってメモをまとめられて注釈をつけられて出版された、ということで、そのへんが独特の色合いを与えている。
まぁ、理論的にとか、精神分析について知りたいとか、そういうことでいえば、ちょっと肩すかしかも。まぁアメリカの精神科医、よくもわるくもいろいろと無自覚な感じがして、ユダヤ人に対する差別心とか、黒人に対する差別心とか、キリスト教に対するスタンスとか、おやおや?と思うようなくだりがけっこうあって、それがまた正直に翻訳に出ているあたりが時代性。でもってまた、それを妻が、「うちの夫は立派で・・・」みたいなスタンスでまとめて注釈をつけて出版しているあたりも、うむ、というかんじ。で、そういう目線に映ったかぎりでの、フロイトの姿、である。