通勤電車で読む『処刑電流』。

処刑電流

処刑電流

出たときに何かの評判を見て買って、そのまま研究室のデスクの脇の棚にずーっと並んだまま幾星霜。先日、学校帰りの電車で何か読めればな、と思ってふと手に取って、帰りの電車で読み始め、あとはうちで読んだ。おもしろかった。歴史、というかノンフィクション、というか。著者は社会学者・犯罪学者といった肩書の人のようだけれど、読んで面白いように書いてある。
死刑、というのがあって、そのやりかたとして電気椅子ってのがあって、その電気椅子による処刑のはじまりのものがたり。電気椅子による処刑を推進したのが発明王エジソンだということ。でもって、電気椅子は残酷性のない人道的な処刑手段だということで導入されたということ。アメリカでは19世紀初めごろは公開処刑だったけれどそれが非公開の「人道的な」処刑へと切り替えられていったということ。それはそうなんだが、こと電気椅子の導入の背景には、草創期の電力業界の覇権争いがあるということ(電流戦争 - Wikipedia)。直流送電に固執したエジソンが、ウェスティングハウス社の交流電流へのネガティブキャンペーンとして、ようするに交流電流は致死的に危険だぞという宣伝のために、商売敵の発電装置を使った処刑装置を提案した、という筋書きがあること、等々。そこに、「残酷で異常な刑罰」の定義を巡る法廷闘争の詳細がからみあって、読ませる。