このところ枕元に置いて読んでた『書くことについて』。

書くことについて (小学館文庫)

書くことについて (小学館文庫)

スティーヴン・キングというのを、読んだことがないわけで、しかし何かでこの文庫が出たことを知って、買おうと思い、某日、購入。で、枕元に置いて、ぼちぼち読んだ。小説の書き方についての本ということだけれど、まぁ文章を書く人間の言っていることというので、面白く読んだ。「まずは書斎のドアをしめて書き、次にはドアを開けて書く」とか。まぁ社会学で言うところのベッカーの本みたいなものかとも思うけれど、それはそれとして、この本はそれだけではなくて、さいしょにまず著者自身の作家になるまでの半生、というかアルコール中毒の危機を乗り越える30代後半あたりまでの自伝ふうの記述があって、それからさいごに、本書執筆中(というか執筆頓挫と長いブランクから執筆を再開したまさにそのとき)に、まるでスティーヴン・キングの小説の登場人物のような男のデタラメなわき見運転の車にはねられて重傷を負うというアクシデントとそこからの復帰の顛末の記述があり、著者が書くことを再開するところで本編がとじられる。ちょっとこれは、書くということになにがしかかかわっている人間は、ぐっときてしまうようなところがある。