『男はつらいよ 私の寅さん』『男はつらいよ 純情篇』みた。 

第12作 男はつらいよ 私の寅さん HDリマスター版 [DVD]

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第6作 男はつらいよ 純情篇 HDリマスター版 [DVD]

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岸恵子は意外とマドンナしてたけれど、若尾文子はいまひとつかみ合っていなかった、ていうかお話の中心が博の独立騒ぎのほうにあって若尾文子がストーリー上で役割を果たしてなかったってのはある(その分、儲け役の宮本信子がよかった)。ただ、amazonのレビューを見てみたら、

柴又に戻った寅さんが実家で出会うマドンナは、これまた夫の無理解に苦しみ逃げてきた女性でした。
しかし彼女もまた連れ戻しに来た旦那に、さして抵抗するわけでもなくすんなりと従い戻っていきます。
旦那はまったく女性の気持ちをうかがうそぶりも無く、ただ世間体を気にするだけで、今の女性が見たら絶対に共感できないこのマドンナの選択です。
夫が少しは反省したからというわけでもなく、家を出てきたというのにあっさりと戻る様は不自然極まりなく、そこにはマドンナの人間性などかけらも描かれていません。

と書いている人がいたけど、そこはですね、あの慇懃なだけで愛想のない多分インテリ崩れの売れない小説家がふらりと団子屋に来て手持無沙汰そうに明後日のほうを向いて店先で待ってるときに、観客の誰もが「なんだこの男は」と思うし、なにかインテリ崩れふうのある種の不健全さを嗅ぎ取るわけで、どう見たって若尾文子、そんな旦那やめろよ、と誰もが思うわけである。そしてしかし、若尾文子は「あっさりと戻る」わけで、「不自然極まりなく」「人間性などかけらも」感じられない、ただ二階で鞄に着物など詰めながら、さくらに、ふっと笑いかけて、「女って弱いわね」というわけである。そこだけ若尾文子が活かされてたと思った。
岸恵子のほうは、山田宏一の心のこもった紹介文と併せて見る。

山田宏一の日本映画誌

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