日帰り出張の新幹線の中で読んだ『街の人生』。最初と最後の人がよかった。

街の人生

街の人生

おもしろいということで買っていたのを、新幹線の中で読んだ。ふつうの人のライフヒストリー聞き書き。語り口調までなるべく残している。著者の人(やゼミ生の人)によるたくさんの聞き取りのなかから選ばれた、5人のライフヒストリー。で、まぁ、ふつうの人の語りがおもしろいというのはそのとおりで、また、おなじことだけれど、人の語りを聞くのはなかなかしんどい作業だといういみでは、しんどい。最初のあんちゃんの話がいちばん楽しくて、それはこのあんちゃんのしゃべり方が軽みとユーモアと頭の良さがあって楽しいから。で、さいごの西成のおっちゃんの語り口も別の意味でおもしろいっていうか、これはたぶんその場で聞きながらすんなり理解するのはたいへんだっただろうという語り口なのだけれど、しかし聞き手(ここでは学生さん)に親切に話し聞かせてやろうという気持ちがわかる、いいかんじの語りなんである。この二人を最初と最後に置いているのは、やはり著者の人の思惑なわけで(というふうに書かれてもいる)、それはやはりそうだというかんじなんである。