某日、手に入った『スタッキング可能』。

スタッキング可能

スタッキング可能

先日、『文藝別冊』のT崎特集の中でちょっとおもしろい評論?エッセイ?が気になってそれを書いたM田という人が作家らしく調べてみると『スタッキング可能』という作品集がありまだ文庫になっていないというのだった。それで気になりつつ、またほかに入手したいAmazon品切れの新書本など何冊かあったので某日、散歩の途中で古マンガ屋に入り、念のために小説単行本の棚を見たら、この本はあって(目当ての新書本は何軒か回ったうちでは見つからなかったのだが)、購入。

表題作がおもしろくて、あと「もうすぐ結婚する女」も、とちゅうであれ?ってなる感じがあった。仕掛けで勝負する人であるようだ。あとまぁ、「ジェンダーを押し付けてくるこの社会への女子的違和感」を表明する主人公に共感、みたいなラインもいちおうはずしてない。ていうか、ごく小さなスナップショットの中でも、登場してる人の感覚や動作に「ちゃんと生きて呼吸してる」感があると、やはり悪くないなあと思う。あと、「マーガレットは植える」というのは、一瞬、なんのこっちゃというお話かと見えて、初出を見たら『早稲田文学』記録増刊、震災とフィクションの距離、ということだったので、そういう特集号に載せる短編を駄洒落ネタでやる、というのは好感が持てる。あと、途中途中でさしはさまれるミニコントはどうでもいい。
自著解説のインタビュー(『スタッキング可能』松田青子インタビュー [書籍・雑誌] All About