このところ読んでたG.H.ミード『西洋近代思想史』。

西洋近代思想史―十九世紀の思想のうごき〈上〉 (講談社学術文庫)

西洋近代思想史―十九世紀の思想のうごき〈上〉 (講談社学術文庫)

ひょんなことから、ミードおもしろいよと聞き、見てみようかなという気になり、これ読んだら背景とかわかるかと思って(なんか、ふとベルグソンとかどうなってるのか、と思って)入手して読んでみた。ミードが大学で喋っていた講義を学生さんがノートに取っていた、そのノートから起こして編集したもの。さいしょのうち、カントはまぁいいとしてもフィヒテとかシェリングとかごちゃごちゃ言ってるときは、なんか哲学だなあと思いつつ例によって適当に読み飛ばしながら読んでたのだけれど、ヘーゲルが出てきたら妙にベタな進化論みたいなことになってきて、そこから産業革命と経済学の話になり、功利主義の話になり、マルクスが登場し、でまた科学が進歩するの話になり、そんな感じの文脈でベルグソンがびみょうな扱われ方で登場して、かと思ったらぐっとベタな社会心理学みたいな話が出てきて、行動主義心理学の話になってプラグマティズムに到着してめでたし、というような西洋近代思想史。まぁ、訳者まえがきにあるように、このセレクションじたいがミードのオリジナリティということのようだ。なんか、カントの苦労は何だったのか、という気もなくはない。1920年代後半ぐらいまでの動向がフォローされているということで、相対性理論とか量子論とかのはなしは参照されている。社会学は、コントばっかしがちょろっと出てきて、デュルケームウェーバーも出てこない。現象学言語学精神分析も出てこない。あれやこれや言ったあげくに最終的に「個人のパースペクティブ」みたいなところに収斂してるので、なんかそのへんは期待はずれというか、まぁ最終的にはやっぱりイメージどおりのミードじゃないのかという気はしたけれど、まぁたしかに「あれやこれや」の部分を経由したり、また登場しない現象学言語学を経由したり、すると読み込みしろはあるのかもしれないとは思った。でも総じて読み飛ばしたぐらいでしばらく付き合いたくない気はするしやっぱしもうちょっと読みやすくておもしろい本を読みたいなーというのが読後感。