このところ通勤電車で読んでた『退屈させずに世界を説明する方法: バーガー社会学自伝』。

退屈させずに世界を説明する方法: バーガー社会学自伝

退屈させずに世界を説明する方法: バーガー社会学自伝

ピーター・バーガーというのは、世代的なあれもあって、社会学入門に『社会学への招待』と『バーガー社会学』を勧められたり、「現象学的社会学」というふれこみで『日常世界の構成』を読んだりした学生時代があり、またそうこうしているうちに「バーガーそんなにいいかぁ・・・?」みたいな時期が訪れて、またまたそうこうしているうちに同業者がなにかというと「構築主義」とか言うようになり決まって『日常世界の構成』を文献リストに入れていたりするようにもなって、もうそうなると「なんだかなぁ・・・」という気持ちにもなりつつ、なんかバーガーを残念の親玉みたいについついおちょくるような書き方をしたりしてしまい(そしてそのつもりで探せばこちらの期待をうらぎらない残念なことを言っているのでよけいに陰湿な楽しさについついむきになってしまったりもするわけだけれど)、まぁそうこうしているうちにもういいかな、となっていたらこんどは職場の宗教学の先生から、なんかさいきんのバーガーはネオコンとか右翼とかになってるよというような噂話もうかがったりして、まぁそれもずいぶん前の話となっていたころに、まぁこの翻訳が目に付いたわけで、なにか懐かしいものを読むように読み始めたら、さいしょのあたりはなかなかおもしろくて、徴兵された先で「偽カウンセラー」に な っ た 話とか、けっこうおもしろかった。ちなみにガーフィンケルとかエスノメソドロジーに関しては、たぶんわざとばかにするような書き方で一瞬だけ言及しているだけで(そこに訳者も加担していて、エスノメソドロジーというルビをふりつつ「民族学的方法論」という訳語を当てている)、なかなかのものだと思う。でまぁ、これ学者としての自伝なので、バーガーのいまにいたる足跡を知ることができて、まぁ当たり前の話ではあるけれどなるほど『日常世界の構成』以後にもバーガーはいろいろなことをやっている。右翼だとかネオコンだとかいうのは、まぁそういう交流もたぶんありつつということのようだけれど、やっぱりバーガーはバーガーであるらしいのだった。
ちなみに、ピーター&ブリジット・バーガー『バーガー社会学』のブリジットさんというのが嫁だというのは知っていたけれど、バーガー=バーガー=ケルナー『故郷喪失者たち』とかバーガー&ケルナー『社会学再考』のケルナーというのが、嫁の旧姓で、つまりこのケルナーというのは嫁の弟だった、というのは初耳だった。なんか身内で共著を書く人なんだなあと。

しかし、『社会学再考』は読んだはずで、読んだんならケルナーがバーガーの義弟であることは「訳者あとがき」にでも書いてあったはずじゃないか、おかしいな、と思って、見てみたら、

・・・もう一方の著者ハンスフリート・ケルナーについては、読者にはまことに申しわけないことだが、訳者は寡聞にしてくわしいことを知らない。わかっているのは、現在西ドイツのダルムシュタット大学教授であることと、ピーター・L・バーガーおよびブリジット・バーガーと共著で前掲の『故郷喪失者たち』をあらわしているということぐらいである。同訳書の「訳者あとがき」には、ごく簡単なものではあるが、ケルナーについての紹介がなされているので、関心のあるかたはそちらを参照されたい。

と書いてあって、なるほど少なくとも自分が読んだ初版の訳書が出た段階ではケルナーの素性というのは謎だったらしいとわかる。まぁそんなものかな。
ついでに後から気づいたこと。この『自伝』の中で、嫁の名前の読みは一貫して「ブリギッテ」と表記してあって、まぁドイツ出身(?オーストリアっつってたっけ?というのが検索しても出てこない。本はもう返却してしまってる)だからそれでいいのかもしれないけれど、旦那は「ペーター」でなく「ピーター」って言ってるんだけどなあ、…と思いつつ、いろいろ検索したら、『故郷喪失者たち』では「ブリジット・ベルガ―」表記で出てくるし、ようわからんところである。

・・・といったようなことを検索しているうちに、出てきた。
BRIGITTE BERGER Obituary - Boston, MA | Boston Globe

BRIGITTE BERGER
 
BRIGITTE BERGER Obituary
 
BERGER, Brigitte Of Brookline, on May 28, 2015. Beloved wife of Peter L. Berger. Loving mother of Thomas and Michael Berger and cherished grandmother of Diya and Alex Berger. A Funeral Service will be held on Thursday, June 4th at 10:00 AM in the Church of Our Saviour, 25 Monmouth St., Brookline. Relatives and friends are respectfully invited. Interment will be private. Retired Professor Wellesley College and Boston University.
Published in The Boston Globe on May 31, 2015

えー・・・。ごめいふくを。