『弱いロボット』。これはおすすめの、雰囲気から入る会話分析/エスノメソドロジー。

弱いロボット (シリーズ ケアをひらく)

弱いロボット (シリーズ ケアをひらく)

以前『驚きの介護民俗学』を読んで良くて(http://d.hatena.ne.jp/k-i-t/20120608#p1)、そのあとその「シリーズ ケアをひらく」というシリーズがはずれなしだと目にして(http://www.mishimaga.com/hon-watashi/107.html)、何年か前にとにかく全部?ごっそり買って、それできっと面白いんだろうと思いながら積読状態になっていたのだけれど、ふと、電車の中で読む本ということで、まぁいちばんおもしろそうで書評なんかもおもしろそうだった(http://honz.jp/14317)本をかばんに放り込んで、見学実習さきへの行き帰りの電車の中で読了。おもしろかった。もっとさっさと読んでおけばよかった。会話分析とか、エスノメソドロジーとか、そういうのに、理屈からというより雰囲気から入るのにちょうどいいと思う。著者の人はお年寄りの施設とかをフィールドワークしたり、そこにロボットを持っていっておとしよりとロボットのやりとりを観察したりもしてる。それで、そうしながら「ちょうどいい自然な雰囲気」を掬い取って、それをロボットに活かして、だからそのロボットが、ちょうどいい自然な雰囲気でおとしよりたちやこどもたちやまわりになじんでやりとりする感じになる、みたいに読める。それで、ここで掬い取られている「ちょうどいい自然な雰囲気」というのが、自分的には、(ある種の)会話分析やエスノメソドロジーが掬い取って焦点をあてているところに重なっていて、そこのところに触れていると「エスノメソドロジーだなあ」と感じるし、そこのところを外していると「エスノメソドロジーっぽくなってこないなあ」と感じることもある。たとえばおなじような会話現象を見るときに、言語学の人と心理学の人とエスノメソドロジーの人はちがうところを見るわけで、「そこのところ」をこの本は、べつに会話分析やエスノメソドロジーの専門用語をありありと表に出してないわりに、すごくちょうどよく掬い取っているように見えるのである。

「muu」というロボットが子どもたちやおとしよりたちと「会話」するようすを見てるくだりとか、とてもよかった。
動画であるかと思ったら、いまいちみつからないけど。

いっぽう、この本の表紙にもなっている、よちよち歩きながら子どもたちにゴミを入れてもらうとよろこぶゴミ箱、というのは、動画で出てくる。
あ、↓この講演の40分ぐらいから、muuの動画がある。かわいい。

↓このへんはゴミ箱がメインかな。





ロボットなのに人の助けを求める「ゴミ箱ロボット」 | nippon.com