大昔、
リバイバル上映のときに『STUDIOVOICE』の邦画特集で紹介されていたので印象に残って、なにかとてもスタイリッシュな映画に違いなかろうと。ピチカート小西が
大映のプロデューサー?と対談するみたいな紹介のしかたをされる
市川崑、というだけでイメージの方向性はだいたいわかるじゃないですか。それでいつだったかBSで放送されてたので録画して、そのままになっていたのを、見た。モノクロで陰影のきつい、影を多用してまったくスタイリッシュな画面で、ストーリーがこれまたドライなブラックユーモアで、非常にスイスイと見れる。タイトルどおりに女が十人(だかなんだか)ぞろぞろ出てくるのだけれど、それは、テレビ局プロデューサーの
船越英二の愛人たち+本妻であると。船越があまりに飄々として優柔不断で女に甘いいい顔をみせてばかりなのでそういうことになっていて、また、女たちも船越のそういうところにはほとほとくたびれていつつ、やはり離れられないでいるというわけ。で、女たちはやがて本妻を交えて奇妙な連帯をはじめる。船越さえいなくなってくれれば、誰かが船越を殺してくれれば、いっそみんなで船越を殺しちゃって・・・等々。そこからドラマはクライムサスペンスに・・・まぁなるわけでもなく、あいかわらず飄々と無責任に進行し、そしてしかしそんなドラマが飄々と無責任に進行することじたいがブラックなわけである。本妻が
山本富士子、
岸恵子が舞台女優、
宮城まり子が未亡人女社長、
岸田今日子が女ディレクター、
中村玉緒がコマーシャルガール(って何だ?タレントか?キャンギャル的な何かか?)、といったぐあいな女たちがしのぎをけずる。