もう何年も前のある日、散歩に出かけて近所のスーパーで中古DVDのカゴ売りをやっていて、物色していたのだが、妙に明るいジャケットで、キャッチコピーが「
ハッカビーズは、ハッピー・マーケット」「幸せになれる、すべてのものが、ここにある。」とか、裏を返せば「愛も、友情も、そしてささやかな喜びも・・・。人生に必要なものがいっぱいつまった新感覚ハッピー・マーケット・ムービー「
ハッカビーズ」」とあり、そのあとに「あなたの人生も、きっとハッピーエンド!」と大書してあって、まぁ不穏ではあったが、これはひょっとしてどこかで誰かが褒めていたかな、一見ふつうのお楽しみ映画でありながら実は見るべき映画だったりしたかしら、という気がふとして、まぁ250円だか500円だかで買って帰ったのだけれど、あれこれ見てみたら自分の手元の本とかで特に誰かが褒めていたような形跡もなく、なあんだやっぱり一見ふつうのお楽しみ映画でじっさいにもふつう、ということだったか、まぁいいやと放置して、それで幾星霜。ふと、つんどく状態にいつまでも並んでいるのを、見てみようかという気になり、まぁお気楽でハッピーな映画というのを見る気分かな、といいつつプレーヤーに放り込んだわけである。そうすると、
ジェイソン・シュワルツマンがエコ運動家のような青年でこれが煮詰まって駆け込んだのが
ダスティン・ホフマンとリリー・トムリンという夫婦がやってる「哲学探偵」と称する探偵事務所。世界はすべて、きみも私もすべてがつながっているんだよ、とかなんとか哲学探偵的なことを説教しながら瞑想を勧めたりして、以下、登場人物が全員、病んでいたり奇矯だったりで、話の展開もリアリズムというよりは寓話ってかんじで、気楽にハッピーどころか、ひたすらとりとめなく陰惨なのだった。まぁ今風というところはわかるし、そういういみでは、一見ふつうのお楽しみ映画でありながら実はちがう、というところはあたりだったわけである。でまぁ何より思ったのは、こういう映画を日本でレンタルとかで流通させようとすると宣伝部の人は大変に苦労して、思わず過剰にハッピー的な線でキャッチコピーを書きまくるに決まっていたわけじゃないか、ということだった。