『カンバセーション・・・盗聴・・・』みた。

ジーン・ハックマンが盗聴の専門家(そんな商売がありうるのか?)で、依頼を受けて盗聴を行い報酬を受け取るのがおしごと。で、映画は俯瞰の風景から始まり、それはどうやら休日の公園を高所から見下ろしたところのようで、それがタイトルとともに少しずつじりじりとズームアップして、また地上の喧騒もだんだんはっきりと聞こえてきて、キャメラは地上を行き交う人たちの何人かをなんとなく追いかけてみたりするのだけれど、いっこうに画面の中央に主役が際立って登場するようなことはなくて、キャメラが追いかけたおじさんのひとりはジーン・ハックマンだということはわかるのだけれどだから何ということもなく、地上に降りたキャメラはあいかわらず休日の公園の喧騒とか、ストリートミュージシャンのジャズ演奏とか、行きかうカップルとかをなんとなく映しているし、だから、ふと気づくとキャメラが追っていたカップルをやりすごしてジーン・ハックマンがベンチから立ち上がったあたりで、そういえばこのカップルがなにか他愛ない会話をしていたなあと気づくわけで(もっとも日本語字幕で見ていると、会話が字幕になった時点でこのカップルの会話に注目すべしというヒントになっていたわけなのだけれど)、つまりこのカップルの会話を録音することがこのたびの依頼だったようなのである。そして、この短い会話を、この映画のあいだじゅうなんどもなんども繰り返し聞き返すことになる。そしてそして、ジーン・ハックマンがこの会話の録音テープを何度も聴きなおしては、聞き取りにくい部分に操作を加えて不鮮明な喧騒の中から音声を浮かび上がらせたとき、いきなりサスペンスが始まるわけである。