- 作者: Aaron T. Beck,Judith Beck,古川壽亮
- 出版社/メーカー: 医学書院
- 発売日: 2008/09/01
- メディア: 単行本
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で、感想はというと、父親のほうの創始者のほうのベックさんのほうのカウンセリングのほうがしっくりきて、というのも意外に想像以上にいわゆるカウンセリングっぽい空気感なんである。たぶんそこが出発点で、そこから理論的にも技法的にもいろいろ展開して(たぶんよくもわるくも?整理されて)、後継者の世代ではぐっといわゆる「認知行動療法」っぽくというか、まぁなんというかそういうかんじになり、そしてさらに日本に紹介されたバージョンのやつ(http://d.hatena.ne.jp/k-i-t/20110317#p4、http://d.hatena.ne.jp/k-i-t/20110518#p1)は、さらにぐっとコンサルっぽくなってる。
創始者のベック父のふたつのカウンセリング映像は、それぞれ鬱状態で押しつぶされた感じの女性が登場するんだけど、ベック父はクライアントの女性の話をよく聞き、沈黙が訪れてもしっかりと待つ。で、クライアントが行き詰っている壁みたいのが姿を現すのをしっかり確認してから、少しずつ、クライアントの認知の整理に取り掛かるけれど、これもなるべくクライアントが自分で気づいて言葉にするのを待つ感じに見える。それで、途中ではクライアントは涙を浮かべたり沈黙に沈んだりもするのだけれど、40分ぐらいのセッションの終わりには、クライアントの顔に少し生気が出てきて、ちょっと笑顔が出たりさえする。というわけで、こういうのなら、カウンセリングのセッションを見たような気になる。まぁもっとも、ふたつのセッションのうち比較的無難に進んでたように見えるいっこめのほうでは、クライアントさんに宿題を出してたんだけど、そういうのは下手するとまずいかんじのアクティングアウトとか、まぁ症状がよけい悪化したりとか、怖いとしたもんで、そのへんを用心しながらやっているようには見えたけれど、でもちょっとだいじょうぶかなあと思いつつでもあった。そのへんじつは、今風のコンサルっぽい認知行動療法のデモンストレーション映像を見てもあまり感じないところもあって、それは良くも悪くも薄っぺらいからさほどひどいことにもならないだろうと安心させるところもあるって気はする。転移とかなさそうだし(ベック父のカウンセリングは、がっつり転移しそう・・・)。