『三里塚 岩山に鉄塔が出来た』。出来たっていうか、鉄塔を作るにあたっての会合と、鉄塔の工事の映像(高所映画のおもむき)が延々と。

三里塚シリーズ DVD BOX

三里塚シリーズ DVD BOX

小川紳介みるシリーズ。まぁ、反対派はいろいろと反対するものの、大きな流れ的には粛々と空港の予定地は強制収用されるわけで、冒頭、さいごの団結小屋もブルドーザーで取り壊しというはこびになる。で、さいごにキャメラが団結小屋の中に導き入れられて、その中で、老年行動隊とか鉢巻をした爺さんやおっさんや男女が、俺たちは勝ったか負けたか?勝利だ。団結小屋はなくなってもオレの心の中に団結小屋はある、これはどんなに最新文明が発達しても壊すことはできない、みたいなことを言い合って酒を酌み交わして、それで小屋を明け渡してまた機動隊を前にオレの心の中にどうのこうのみたいに演説を吹いて、まぁいずれにせよ結果としては工事は進むわけだけれど、DVD付録のブックレットによればこの作品はこの冒頭のシーンから、ぱっと半年の時間をすっとばして、次のシーンでは鉄塔建設の相談の会合がはじまっている。じつは冒頭ののんびりしたかんじのシーンの日、たぶんそのあとに、機動隊員3人が亡くなる激しい衝突がおこったということで、まぁそのへんはカットされているわけで、ともあれ結果として工事は進み、反対運動は次の段階に進み(というか後退戦を演じてるわけだが、ともあれ)滑走路のできるところに鉄塔を建設するというはこびになる。それで、反対派は鉄塔をつくるにあたって何か会合を開いていて、そこであんちゃんが何かを涙ながらに訴えているのだけれどいかんせんなまっているからなにいってるのかわからない。ともあれ、まぁ状況的に煮詰まってるわけだし、やってられねえよというようなことを主張したいんだろうなということぐらいはなんとなく想像がつく。でまぁしかし、ともあれ鉄塔は建設の運びとなり、そうすると画面は戸外に、鉄塔建設現場ということになり、とび職のあんちゃんたちが集まって相談している。全国から支援で集まってきたとび職の皆さんということで、こっからは農民云々というよりは、プロの仕事を映す映画というかんじ。鉄塔建設にいろいろ苦労しつつなんとかうまくいきましたということで、鉄塔の上での作業を映してるところは高所映画の趣き。で、ああだこうだで鉄塔完成、で、ラストには、鉄塔を見上げる野っ原みたいなところでとび職のあんちゃんにインタビュー。なぜか幼女があんちゃんにしきりにまとわりついているという演出付き。あんちゃんとしてははんぶんぐらいは他人事っちゃ他人事なので、まぁいい湯加減ののんびりしたインタビューになっている。それでタイトル字幕が出て、それから字幕で支援の訴えが出るのだけれど、闘争は続くと言われても、工事進んでるしなぁと思うんじゃないかなあと。シリーズの中でも、機動隊と衝突したり怒号が飛び交ったり肉弾戦を繰り広げたりしていた段階とくらべると、明らかに、なんか変わったというか、まぁ、過ぎてしまった時点から振り返ってみれば、衝突だの肉弾戦だのというのも蟷螂の斧ということだったのだなあと。いやまぁこの映画見てそういうことをいうのもなんだけど。