『セッション』みた。パワハラジャズオーケストラのはなし。

セッション [DVD]

セッション [DVD]

ラ・ラ・ランド』の監督の人の作品だというので、積読の中から発掘して見た。音大でジャズドラムを勉強してる系男子が主人公で、なぜか大学のトップジャズオケに抜擢されて喜んでいたら、指揮者の教授が無暗なパワハラ野郎だった、というおはなし。その話、面白くなるのか?というか、ジャズというのは基本的には、指揮者が完全にコントロールするようだとあまり面白くならないとしたもんではないのか、まぁジャズオケというのは演奏システムみたいなものだから指揮者の完全なコントロール下にあるようなオーケストラの演奏が良い、ということもありうるのか。しかし、1小節演奏させては1拍か2拍でいちいち止めて怒鳴り散らす、というのを繰り返す、というのは、ふつうに考えて、スイングだのドライブだのというものを単純に殺すことにしかなってないんじゃないかと、まぁ思うわけですよねえ、つまり、ふつうに単純に、練習になってないんじゃないかと。まぁほとんどの時間帯でそういう疑問を抱きつつ画面上のパワハラな怒鳴り声を見続ける映画、というかんじ。まあ、結局のところこの指揮者の人は困ったツンデレだったということなのか。
そういえば全く脈絡なく書くけど、今日は散髪をしたのでここに書いておくというライフログ

Amazonのレビューを覗いたら、まぁ☆の数はともかく、そうだなと思ったのは↓このへん。

スポ根 ジャズ。。。。
ピーター・アースキンのコメントでは
ジャズ・ミュージシャンは音楽を楽しむ為にやっている
この映画には、そういう要素がない
というような発言をしているようです
ニューヨークの音楽学校でドラマーを目指しているような
最先端の学生はバディー・リッチなどは。。。。聴きません

この映画が、何故スポ根なのか
主人公は、バンドのセカンドドラマーとかで設定されてますが
実際のバンドには、そういうシステムが存在しない
トラで、代わりを呼ぶとかありますが
後ろで、待ってはいません。。。。
それは、アメリカのスポーツ、例えばアメフトのセカンドQBとかの世界
それを言ったら、映画は作れないというのもありですが。。。。
現実と離れた設定も、コメディー化の要因になってしまいます

たしかに、見ながら、「バディ・リッチかぁ・・・?」と思っていたわけである。まぁ、このレビューの人も口が滑っていて、「ニューヨークの音楽学校でドラマーを目指しているような最先端の学生はバディー・リッチなどは。。。。聴きません」というのはたぶんやはりちょっとウソで、すくなくともジャズの名盤的なやつを聴いていたら自然とバディ・リッチは含まれているんじゃないかと思う。ただし、それで目標とすべき第一のドラマーがバディ・リッチになるか、というと、話は別だけれど。
www.youtube.com
誰もが絶対聴いてる『バード・アンド・ディズ』のドラムがバディ・リッチで、そうするとこの盤での立ち位置というのは、ビバップの最先端をいくメンバーの中で一人だけ旧世代のドラム、ということになってて、それがまぁこのアルバムを聴きやすくもしてるかもなんだけれど、切迫したアドリブの応酬の後ろでひとり安定したドラミング、ときどきソロが回ってくると「大車輪のドラムソロ」で張り切る、という具合(あれ、この↑YouTube動画、最初の8曲だけ『バード・アンド・ディズ』で、あとは別のアルバムである。あと、いま初めて知ったけど『バード・アンド・ディズ』のオリジナル盤には、別セッションの曲が2曲含まれてたのか)。
でも、ちょっと思ったのは、たぶん聞き違いでなければこの映画の中でパワハラ指揮者がドラム男子に向かって「このユダヤ人め」みたいなことを怒鳴っていたような気がして、あれ?と思って調べたらバディ・リッチユダヤ系ということかもしれない。そのへんのこだわりがどのぐらいあるのかわからないけれどもしかしてそういうところもあってバディ・リッチをアイドルとしていたということなのかもしれない。
でもまぁふつうは、いまどきバディ・リッチを目指すとは言わないわけで、そうするとじゃあ、誰を目指すとかっこいいかと考える方が楽しそう。エルヴィン・ジョーンズを目指します。ジャック・ディジョネットを目指します。まぁ、トニー・ウィリアムズを目指します、とかですか。だめだな、ここで60~80年代ぐらいまでの名前しか出てこないわ。