なにをかくそう、
菅原文太というのを通ってきていない。『
仁義なき戦い』シリーズや
東映実録路線がたしか未見で、『トラック野郎』シリーズもむかしにテレビで見かけたかどうかというぐらいで、まぁテレビなんかで見てたり、かなり偉くなってからのイメージはあるけれど、活きのいい
菅原文太というのを見てなかったわけである。で、つんどくのDVDの中に『トラック野郎』を見つけて、見てみた。意外に悪くなかった。松竹の『
男はつらいよ』に対抗しての『トラック野郎』というポジションということで、寅次郎ならぬ桃次郎のドタバタ、オゲレツ、殴り合いの大喧嘩と
デコトラのカーアクション満載で、特別出演の
都はるみが歌う盆踊り「トラック音頭」まである、
ハイセイコー(馬)までが特別出演のクレジットつきで登場、という大盤振る舞い。
菅原文太の桃次郎は若くてスリムでしかもバカで乱暴で下品でしかも初心で不器用でまじめなところがありまた度胸があって男気がある、茶目っ気もある、という、まぁなるほど魅力的なのはわかる。北海道のトラック野郎、
カムチャッカこと梅宮辰夫との殴り合い喧嘩シーンなどは両人とも若くてなかなかよかったし、そのなかでも冷蔵倉庫の中で殴り合いをやっていたらジョナサンが誤ってハンドルをぐるぐる回してしまいマイナス50度に!そして次のカットでは殴り合いの形のまま冷凍状態になった二人…というギャグなどはくだらなくてよかった。いや、なんだかんだばかばかしいお話ながらも、トラック野郎仲間の事故死のシーンは、はっとさせるし、クライマックスの爆走での吊橋のシーンではなんだかんだいって息を飲んだ。