通勤電車で読む『夢みる名古屋』。左翼版のブラタモリというかディストピア名古屋の形成を近代都市計画・モータリゼイション・ジェントリフィケイションの線で読み解く。

夢みる名古屋

夢みる名古屋

あの『無産大衆神髄』の、『愛と暴力の現代思想』の、矢部史郎という人が、最新の著書では名古屋について書いているというので、第一印象は「えー?」だったわけである。
非常勤回りの途中で買った本。『愛と暴力の現代思想』『生命と現実』『スキャナー・ダークリー』 - クリッピングとメモ
『無産大衆神髄』入手。素晴らしい。 - クリッピングとメモ
『原子力都市』。2010年に出た本。予感する力。 - クリッピングとメモ
通勤電車で読む『3.12の思想』。 - クリッピングとメモ
『放射能を食えというならそんな社会はいらない、ゼロベクレル派宣言』。 - クリッピングとメモ
非常勤先の図書館でぱらぱら見た『現代思想 特集フェリックス・ガタリ』に矢部史郎が。 - クリッピングとメモ
でまぁ、おはなしの前提として、なぜこの人が名古屋について書いているかというと、この人は震災があったその日のうち、原発の異常の第一報が報じられた瞬間に、子どもを連れて東京を離れている。それで名古屋に住んだということだったと思う。人間がどこに引っ越そうが勝手なのでそれはかまわんとして、しかし、引っ越し先が名古屋で、この著者の人は名古屋という場所が寒々しく荒廃していて不愉快で発狂しそうだというわけである。で、なぜそんな空間が形成されたのかを、近代都市計画・モータリゼイション・ジェントリフィケイションという3つの線を引きながら、読み解いていく、という本。名古屋そのもののはなしというより、東京でも大阪でもなく名古屋において最も成功した近代的都市計画が生み出した空間がこれである、非人間的で歩いていると発狂しそうになる、それはどういうことか、はたまたモータリゼイションは、ジェントリフィケイションは、こんなかたちで名古屋の空間を作り上げている、それはどういうことか、みたいなはなし。
モータリゼーションのはなし(のおまけのところ)がおもしろかった。偶然にも、『トラック野郎』と『新幹線大爆破』(ついこのまえ続けてみた)の比較、というはなしが出てきたり。口裂け女と駐車場のはなしとか。