通勤電車で読む『教室ファシリテーション 10のアイテム 100のステップ』。具体的でおもしろい。

教室ファシリテーション 10のアイテム・100のステップ―授業への参加意欲が劇的に高まる110のメソッド

教室ファシリテーション 10のアイテム・100のステップ―授業への参加意欲が劇的に高まる110のメソッド

今期、授業でファシリテーション技法関係のことをあるていどまとめてやったけれど、だいたい一段落。でまぁ、このあたりの本をおさらいしたりしつつ、また新しく読んだりした。この本の著者は現役の中学校の先生らしいひとで、「研究集団ことのは」というのを設立して国語科授業の研究をしているひとだと。この本が2012年刊行だが、その前にも後にもたくさんの著書があるようだ。でもって、なるほどおもしろかった。まず前提として、「力のある先生」なのだな、というのがあって、そういう人がじぶんのやっていることをちゃんと言葉にしてくれるととてもありがたい。で、たとえば学級づくりで新年度さいしょに生徒さんたちにさせる、自己紹介だといまいち平板で盛り上がらないので「ペア・インタビュー」というのにすると、ちょっとした仕掛けでずっと実のあるコミュニケーションと、豊かな紹介内容がでてくるよと。あるいはディスカッションとかディベートとか、ワールドカフェとか、なんとオープン・スペース・テクノロジーまで、10のアイテムが紹介され、さらにそれらひとつひとつについて、具体的にどう段階を追って進めるか、たとえばペア・インタビューをやるにしてもいきなりではなくて、最初にアイスブレイクをやったり、目的を明確化させたり、でもって各人でまずワークシートにいろいろ自分のことを書きこんで、そのあとペアになって相手のワークシートをもとに「取材コンテ」をつくり、それをもとにインタビューをする、インタビューのやり方もさいしょに「質問法四原則」と称して、オープンクエスチョンで聞く、大枠→細部の順に聞く、軽→重の順に聞く、オウム返しで相手の補足説明を引き出す、などというちょっとした技法を指導するとか、「なるほどインタビュー」ならぬ「つっこみインタビュー」すなわち、相手が答えたら「なるほど」で済ますんでなく、「1A3Q」と称して一つの答えにさらに3つのツッコミ質問をする、とか、こまかく段階をふんで仕掛けを入れ込んで指導して実践させる、というのが書いてある。これ、中学校のていで書いてあるけど、大学生でも社会人でもアレンジしていけるし考え方とか参考になるよなあと思いつつ読んでた。まぁ、後半のワールドカフェとかオープン・スペース・テクノロジーとかは、さすがに中学校向けというか、学校の授業とか活動に合わせた感じでかなりアレンジされているけど。