通勤電車で読む『誰も必要としていないかもしれない、映画の可能性のために』。方法論が興味深い。で、『2/デュオ』みた。

諏訪敦彦という監督が、自作の方法論を語ったりしてる本。なんとなく読んでみたら面白かった。簡単なプロットだけ決まっていて、あとは俳優たちが即興で演じるのだそうだ。映画のラストも決まってなくて撮影をしてるうちに決まるとか。もともと脚本を書いていたけど、「他者」みたいなことをテーマにしてるのに台詞があらかじめ決まってたら「他者」もなんもないじゃんということで、プロットだけにしちゃって俳優さんたちにその場で演じてもらったら、自分の言葉が相手にどう伝わるか、相手がどう反応して、それを自分がどう受け止めるか、で、どう反応するか、等々、その場でリアルに「他者」性が出てくるかんじになって、それを撮影すると、「他者」性のドキュメンタリーみたいのがフィルムに記録されることになる。映画というのは、キャメラの前で起こったことが写ってしまうものだから、フィクションでもドキュメンタリーだし、また、わざわざその場にキャメラを持って行って写してまたそれを編集したりするんだからドキュメンタリーでもフィクションなんである。そういう映画の特性にきょくたんにこだわったかんじの方法論。興味深い。
で、『2/デュオ』というのを見てみた。
2/デュオ

2/デュオ

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
西島秀俊が、俳優というかまぁヒモみたいなクズ男で、柳愛里がアパレルのショップの店員さんで、まぁ1Kのアパートに住んでて二人でこじれて煮詰まるかんじ。で、本で監督が言ってたような方法論は、なるほど、言ってることはわかる、ドキュメンタリーねえ、というかんじ。途中でちょいちょいインタビューが入り、俳優なのか登場人物なのか、微妙に揺らぎながら受け答えをしたりして、まぁそのへんがメタフィクション的な仕掛けでもある(けれどそのへんはいかにも長編一作目的な、ちょっと逃げっていうか言い訳っていうか、こんなふうにやってみてるんですみたいなふうにも見える)。