『新記号論』読んだ。

ゲンロンカフェというところで行われた対話というか「伝説の白熱講義」ということで、いわゆる人文系的な記号論の議論と、いわゆる理系的な情報論の議論をいっしょに論じ切ってしまおうというもの。へえ!というような知見(チャンギジーという人の文字に関する脳科学の知見とか、フロイトを初版原書で確認して初めてわかる図版にかんする知見とかなんとか)が仕込まれていて面白い(し、聞き手役の東というひとがそのつど驚きあきれてみせるので盛り上がる)。まぁ、大まかには、フロイト的な無意識のしくみが今やwwwとかAIとかビッグデータとかに接続されたり置き換えられたりしてるよね、だから人間的な文化とテクノロジーと、まぁついでにいうと資本主義と政治権力とを、いっしょに論じ切ってしまわないと全体の絵が見えてこないよね、みたいなおはなしそのものは、まぁそうだろうなあというかんじ。石田という人は1953年生まれで世代的には団塊のすぐあとぐらいの人、そのへんでまぁ世代的なあれにみえてこなくもないのだけれど、まぁ本書の対話の最後のあたりで触れられるいわゆるベタな政治経済社会的な状況論について、たとえば1968年をどう処理するかといったことについて、両対談者の基本的な感覚は微妙にずれてるみたいではある。