通勤電車で読む『エスノメソドロジカル・ソーシャルワーク』。秋葉さんも参照されてる。「気づき」を方法化しようぐらいの湯加減の本。

ずいぶん前に買ってたのにそういえば読んでなかったのを共同研究室の書架に発見して読む。著者の人はのっけから、エスノメソドロジカル・ソーシャルワークというのは筆者による造語で、たぶんエスノメソドロジー側からもソーシャルワーク側からも唐突に思われるだろう、みたいなことを言っている。まぁ、よくもわるくもそのぐらいの距離感で、まぁエスノメソドロジーですかと問われればうーん?と思わなくもないけれど、まぁ、これぞエスノメソドロジーと押し出されるよりは、普通に読めるし、エスノメソドロジーに触れてソーシャルワーク領域で学生さんの指導とかしてるとこのぐらいの湯加減でいくよなあ、というのはとてもわかる。秋葉さんの「フォーラム・シアター」の取り組みなんかも参照されてて、そのぐらいのかんじでエスノメソドロジーの感覚を現場につなげていこうというかんじ。具体的には、学生さんの「社会福祉援助技術実習」とかの実習系、あるいは現場実習の授業で、ちゃんと事実を見て、「フィールドノーツ」を丁寧にとりましょう、それで「「気づき」という…現場ではとてもポピュラーな認識形態」を状況の中で身につけさせる、という。そのかぎりでは福祉以外の領域の教育でも参考にできる。エスノメソドロジーですかと言われると、まあたとえばガーフィンケルが学生たちに、自宅で家族の団らんのようすを「他人になったつもりで客観的に観察しろ」と命じた、という実験にちょっと似てるかもと思った。