例によってこれはHONZからだったと思う(https://honz.jp/articles/-/45934 https://honz.jp/articles/-/45951)。リクルートの江副という人の伝記。帯に「ジェフ・ベゾスはこのヤバい日本人の「部下」だった」とあり、え?と思わせる。で、冒頭にもたしかにそういうエピソードもあるけれど、まぁそれは偶然一瞬そういうことがあったぐらいのことのよう。べつにジェフ・ベゾスが江副の薫陶を受けたというはなしではないですね。
それはともかく、この本、まぁ前半はけっこうおもしろい。起業の天才、かどうかはちょっとわからないけれど、「モチベーション経営」(大沢)を武器にリクルートという戦闘的組織をつくって高度経済成長の波を捉えてぐんぐん成長していく感じは面白かったし、まぁ、紙の雑誌が全盛の時にもうITの世界をはっきりと見越して動いていたというヴィジョナリーぶりはなるほどねのところ。まぁでも、いちど成功してしまうと飽きちゃうというのは、どうなのか。まぁそこが「起業の」天才であって「経営の」天才と呼ばないところなのか。そしてしかし、江副という人はリクルート事件で没落する、ていうか結局その前からバランスを崩して破綻してたとか。これも本人というのもだけどバブルという背景の要素が大きいかんじもある。
で、そこから後半はひたすら陰惨なのだけれど、そのなかで、なんやかんやあって、ダイエーの中内という人がリクルートをあずかることになるくだりの数ページは楽しい、いいところ。