- 作者:ぼくらの非モテ研究会
- 発売日: 2020/09/27
- メディア: 単行本
以下は蛇足。
この本に関しては、これはサブタイトルにも「当事者研究」という言葉を使っているし、まぁ、「研究」ということばがちょくちょく出てくる。じゃ、これは「研究」なのか?というか、「研究」として評価したときにこれはどうなのか?というふうに言いたくならないか。「当事者研究」なんだから、当事者が自分で語りだした言葉を真正なものとして評価すべしという理屈がゼロでないことはわかる。いかに客観科学的には陳腐で稚拙なように見えても、それが当事者の語りなんだから定義上それが真正である、という理屈はありうるだろう。でもそういう評価のされかたは当人的にはうれしいのか?とはやはり思う。これはこの本がどうこうということじゃなくて、「当事者研究」と称する「研究」はどれも同じ理屈を通過することになると思う。
そして言わずもがなの蛇足をもうひとつ。
この本を、たんなる作文集として出すのではなく、「当事者研究」として出すことに、「研究」のための意義とはべつに、「当事者」のための意義というのがあってしまったりしないか、ということが気になり、しかしそうすると、この本を「研究」としていいとかわるいとか評価することが、「当事者」にとって実存的な意味を持ってしまうんじゃないかという懸念を持つ。そういう出し方をしてよかったんだろうか?