通勤電車で読んでた『定時制高校の教育社会学』。70年代以降、「受け皿」になった定時制高校の、教育と包摂のロジックについて。

定時制高校というと、昼間に働いて夜勉強しようという人たちのための高校、と思っていたらさにあらず。そんなのは昭和のはるか昔のお話で…というわけ。とっくのむかしの70年代以降、勤労学生のための定時制高校という色彩は薄れて、全日制高校をドロップアウトしたりした生徒の受け皿という機能をもっているのだよと。それはまぁそうだと思いつつ、しかし、それならちゃんと、定時制高校を舞台にした教育と包摂のロジックを明らかにしないといかんよねと。雑誌とか冊子をしらべたり、あと、定時制高校で教えてた先生にインタビューしたり。読みやすい。
個人的には第5章のOBの先生へのインタビューがおもしろかった。そうとう極端なことを言っているこの先生の主張にそのまま賛成する人は世間的には多くないかもしれないけれど、しかしこの先生のロジックそのものは、教育にかかわる者が(大学教員も含め)少なからず「わかる」だろうなと思う。そのいみで、この議論は、定時制高校を論じつつ、いまの教育と切り離すことができない(というか、あるいは、「切り離すことができないはずなのにもかかわらず排除されている」というべきか)包摂のロジックを、描き出しているだろうと。