通勤電車で読む『看護婦たちの物語』。平成のはじめごろに看護雑誌に連載されたエッセイ的な小説。高野文子のイラストにひかれて。

Twitterの、たしかコロナについて情報を得ようと作ったリストを見ていたら、高野文子の絵がぱっと目に入った。なにかのツイートに、ちょうどいいマンガの場面か何かの画像を貼り付けるというまぁTwitterふうのおふざけなのだけれど、高野文子の絵は高野文子だとすぐわかり、そしてその絵の場面を自分は見たことがなかったので、あれ?新作が出たのかしらと思ってスレッドを辿ると、『看護婦たちの物語』という本のイラストであると。で買ってみた。
1989-1991に、看護雑誌に連載された、まぁエッセイ的な小説(実話を書くわけにいかないのでフィクションなのだけれど、でもどこの病院でも起こっている日常だよ、みたいなことだろう)。タイトルからわかるように、当時はまだ「看護師」と言ってなかったわけで、30年以上前の本なのだった。奥付によれば、イラストの高野文子は当時、『Hanako』に「miss RUKI」を連載中、とのことで、それは『るきさん』なわけである。で、高野文子はもと看護師だったわけだし、たしかいつでも看護師に戻るつもりでいるみたいなことを『ユリイカ』の対談で言っていたような気もするので(https://k-i-t.hatenablog.com/entry/20051015/p1 https://k-i-t.hatenablog.com/entry/20070222/p2 )、この本のイラストはやはりちょうどあってる感じがするのだった(その『ユリイカ』、ついこのあいだのように思っていたら、2002年つまり20年前のものだったのか、やれやれ年を取るわけだ)。
で、この本だけれど、やはり看護の話というか医療の話というのは、しんどい話になるなあという気はして、お話そのものは読みやすいし、ちょうどその少し後にやってた昼ドラ『いのちの現場から』とか、看護師さん物のドラマに近い感じのおはなしで、面白く読んだんだけど、えーとたとえば佐々木倫子おたんこナース』が、佐々木倫子なんだから面白いんだけどやはりしんどいというのと似たかんじ。まえ、ちょっとここ(https://k-i-t.hatenablog.com/entry/2022/03/02/102740 )にも書いたけど、お医者さんのテキストだとそれぞれのケーススタディの結末で病気が治るかんじでおわるので、読んでてあまり暗くならないけれど、看護のテキストって事例が暗いのが多い気がする。というのに似たかんじというか。