れいによってTwitterのタイムラインを流れていた本で、帯に「解像度があがる!」って書いた本とタイトルに「解像度が高い人」って書いた本のどっちを先に読もうかと思って解像度がすぐ上がりそうなほうから読んだ。「はじめに」のところで「そもそも「解像度」って何だ?」とあり、なんかたぶん定義は書いてないけれどいろんな名画の写真とぼやけた写真をならべて出していて、解像度が高い人は思考が鮮明で細部まできれいに明確に見えている、物事が細かく見えている、とか書いてあるのでなんかわかった気になる。で、解像度の高い人になるために必要な3つの能力として、「具体化思考力」「抽象化思考力」「具体⇔抽象思考力」が挙げられていて、そっからさきはそれぞれの力を高めるためのトレーニングが並んでいる。でまた「具体化」とは「似たもの同士の違い」を見つけること、「抽象化」とは「違うもの同士の共通点」を見つけること、というふうに定義してて、ものごとを階層的に分類していくツリー図のようなものが示されているので、まぁなんとなくいわんとするところはわかるね。そして、あとはじっさいのトレーニングとして、「「空港の書店」と「繁華街の書店」の違いを5つ挙げよ」とか「「砂漠のオアシス」と「図書館」の共通点は?」とかいろんな問題が51問だされている。こういう練習は、まぁこの51問をやったら急に解像度の高い人になるとは思わんけれど、あるいはそれらがほんとうに「具体化」や「抽象化」の能力と同じものにかかわっているのかもちょっとわからんところはあるにせよ、しかし例えば学生さんのなにかの授業の毎回の導入でちょっとずつやるってのはなくはないかもと思った。なんていうのか、抽象度の上げ下げみたいなことはたしかに頭の動かし方として身につけている人と身につけていない人はいるみたいで、なにかトレーニングでそこを反復練習するみたいなことができるならやればいいなあと思ったというか。
ところで本書の最初のほうで、名画とそのぼやけた画像を並べて解像度が高いと具体が細かく見えるよ、というのはいいとして、「抽象」という話になると急に名画のトリミング版と全体像版を出すのはちょっとそれは違うのではと思う。抽象化思考をすると物事の本質をとらえることで視野が広がるよということを言いたいらしいのだけれど、絵の面積じたいが広くなってしまったらおはなしがちがってこないか。ていうかこの比喩のもっていきかたじたいが「具体⇔抽象」についてのおもしろい問題になっているというか。