「「教諭自殺、学校に責任」両親が公務災害認定を申請」って、「結婚や子育てをしていないので経験が乏しいのではないか」とか保護者に言われたりしてたっつの。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20061024i215.htm

東京都新宿区立小学校に今春から勤務していた新任の女性教師(当時23歳)が自殺したのは、仕事上のストレスや学校の支援不足が原因だとして、この教師の両親が24日、地方公務員災害補償基金東京都支部に公務災害の認定を申請した。
 心の病で休職する教師が増える中、新任教師の死は学校現場に課題を突き付けている。
 両親の代理人弁護士によると、この教師は4月、2年生の担任になった。保護者と交換する連絡帳の中で、宿題の出し方が安定しない、子どものけんかで授業がつぶれるなどと指摘されるようになり、5月には、人生経験の少なさも批判された。
 このため5月22日、校長に初めて相談。保護者と電話で話すよう指示を受けたが、時間外労働も加わり、過度のストレスを感じていた。自殺を図っていったん未遂に終わったが、同月末にもう一度自殺を図り、翌日死亡した。ノートには「全(すべ)て私の無能さが原因です」などと書き残されていた。弁護士は「保護者からのクレームなどで精神的に追いつめられ、学校の支援も不足していた」としている。
 両親は弁護士を通じ、「娘は、大学生になった時から先生になることを夢見て努力をしてきた。最期まで逃げずに職を全うしようとしたから倒れたのだということを証明してあげたい」などとコメントした。
 文部科学省によると、2004年度に病気休職した全国の教師6308人のうち、精神性疾患による休職者は10年前の約3倍にあたる3559人。
 新宿区教育委員会では「新任教師が亡くなったことを重く受け止め、児童へのケアをしてきた。公務災害の申請は内容が確認できずコメントできないが、手続きには協力したい」としている。
(2006年10月25日1時48分 読売新聞)

で、
この「5月には、人生経験の少なさも批判された。」って書いてあるのはですねえ、
別の記事ではそこを大きく取り上げているけれど、

http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20061025/mng_____sya_____009.shtml
保護者から批判『結婚、子育てしてないから』
『ストレスで教諭自殺』
 
 東京都新宿区の区立小学校の女性新任教諭=当時(23)=が過重労働やストレスで精神疾患にかかって自殺したのは公務災害に当たるとして、両親が二十四日、地方公務員災害補償基金東京都支部長(石原慎太郎都知事)に公務災害の認定を申請した。
 申請によると、この教諭は今春大学を卒業。四月に同校に赴任し、二年生の学級担任(児童二十二人)となった。大学時代は健康だったが、五月下旬に病院で「抑うつ状態」と診断された。同月三十一日に自宅で首つり自殺を図り、六月一日に死亡した。
 教諭は着任後、連日授業の準備に追われ、一カ月の超過勤務時間は百時間を超えた。また、保護者からの連絡帳には指導への疑問や批判が繰り返し記され、「結婚や子育てをしていないので経験が乏しいのではないか」と人格を侵害するような内容もあったという。
 同校は一学年一学級編成で、教諭は友人に「相談する人がいない」と漏らしていた。八月に自宅で見つかったノートには、「無責任な私をお許しください。すべて私の無能さが原因です」と書かれていた。
 記者会見した代理人川人博弁護士は「新任教諭への学校のサポート体制が脆弱(ぜいじゃく)だった。保護者にも新任教諭を育てる姿勢が必要だ」と指摘している。
 同校校長は「若い尊い命が失われたことは痛恨の極みで、ざんきに堪えない。誠意を持って対応する」と話している。
 区教委の木下川肇教育指導課長は「現段階で申請内容を確認できないが、手続きには協力する」とコメントした。

あー。ねえ。
教職の授業もやっている。学生がこんなめにあったらやりきれないと思う。
で、
読売新聞さんは「5月には、人生経験の少なさも批判された。」という書き方をしていて、これは、この先生が人生経験が少ないです、という前提の書き方なのだけれど、えー、これも時流に乗った書きぶりではあるんで、
時流に乗らない感覚で言えば、「結婚や子育てをしていないので経験が乏しいのではないか」みたいな発言は、政治的に正しくないし、まぁどういうタイミングで校長に相談に行ったのかはよくわからないけれど、「このため5月22日、校長に初めて相談。保護者と電話で話すよう指示を受けたが」というのは、どうなんでしょう、この校長先生がもう少し気が効いてサポートしてたら(たとえばフラフラ状態の先生を電話対決でトンデモ発言の保護者にさらにぶつからせるのは酷かなあ、とか様子を見たりとか?)、こういう悪い結果にはならなかっただろうけどなあ、と思う、
っていうか、この記事を読んだ感想をありていに言えば、
この校長も腹の中では「結婚や子育てをしていないので経験が乏しいのではないか」みたいに思っていたのじゃないか。だから、学校スタッフとしてのチームワークで、若い先生をフォローしながら、保護者に接する、みたいなことができなくて、ぎゃくに、むしろ心情的には保護者+校長vs若い先生、みたいな構図になってしまったんじゃないか、とか。まぁそれは悪い想像ですが。やー、東京都と聞くとそういう想像がわくようになってきてよくないですね。
ていうか、
「結婚や子育てをしていないので経験が乏しいのではないか」みたいなことを言う保護者は、ではなぜ、「結婚や子育てをして」「経験」が豊かであるはずなのに、おまえんちのガキはしつけがなっとらんのかね?と思うし、
おまえとりあえずその豊かな経験でせめてわがガキのしつけをしてから文句をいいなはれ、
学校の教師の仕事は「結婚や子育て」の経験とは別もんなんやから無責任に口出しすな、
という、ごくまっとう&穏当な理屈だけをちゃんと見失わずに(自分が&まわりの同僚が)キープできてさえいれば、そんなに追い詰められずに乗り切れた(あるいはこの仕事は向いてないとドライに割り切ることもできた)かもしれない。